「地方移住には相当な覚悟が必要」理想郷 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
地方移住には相当な覚悟が必要
地方移住のトラブルは日本でもよく聞く。
「憧れの田舎暮らし」は、都会の人たちが抱く美しい幻想だと思う。
そういう発想自体、地元の人を見下していることが多い。
閉鎖的な地方では、そこでのローカルルールが全てで、一般的な常識が通用しない世界なことがままあるようだ。
移住者と元からの住民との軋轢が生まれがち。
主人公夫婦の隣人兄弟は、ともに女っ気のない独身。心底自分たちの境遇を呪っているが、自力で自分を救うことは全くせず溜まった鬱屈を隣人に向けるという絶望的に頭が悪く無知蒙昧粗野で凶暴、最悪のご近所さんだ。
主人公夫婦も、貧しい村人にとって補助金を落としてくれる福音みたいな風力発電誘致に、景観を損ない、自らが計画した村のリゾート化の妨げになる、という理由で反対していて、反発を食らうも当然な気がする。彼ら(特に夫)が「村のために」やっている、と思っているのも、地元の人たちにはウザいと思われていそう。主人公夫婦、村人に対して上から目線だし。
警察の動きが鈍いのもありがちだと思う。彼らも地元民なのだから。
元になった事件があるとのことだが、さもありなん。
移住する際は、場所の選定はより慎重に
間違っても村を二分するような揉め事の種があるようなところには決めないほうが良いと思う。
慎重に決めても、隣人ガチャに外れたりする。
村八分や嫌がらせがある可能性、撤退する可能性も視野に入れて、相当な覚悟を持ってすべきでしょう。
前半、後半でカラーが違う話になっているが、どちらも長い。
特に後半、なかなか進展せずちょっと苛つくし、あのラストは消化不良。
犬、隣の弟に懐いててちょっとムカついた。ご主人さまを守ろうよ。
懐いちゃって吠えないから番犬にならなくて、主人公夫婦への嫌がらせが野放しになったじゃないの。