「ラストは泣ける。前半はあまり盛り上がらないが、それは後半に生きてくるので、我慢して観よう」銀河鉄道の父 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストは泣ける。前半はあまり盛り上がらないが、それは後半に生きてくるので、我慢して観よう
父の視点で描くというアイデアがうまくハマっていると思う。この映画というより、原作の門井 慶喜氏のアイデアだが。
この映画を見る前は、宮沢賢治は偉人で、子供の頃から立派だったのだろうと思っていたが、そうでもない姿が描かれる。なので、観ていて、しばらくは気持ちが盛り上がらない。でも、父親の視点で観ているので、「そうだよなあ。子供って親の期待通りには育たないよなあ」と、宮沢親子に共感する気持ちになる。あとで調べてみると、宮沢賢治が挫折したり、脇道にそれたりしたのは、実際にあったことのようなので、宮沢親子の葛藤もこれに近かったのだろうと思った。
映画の後半は、文学に励む姿や、農業指導をする姿が描かれて、自分が抱いていた宮沢賢治イメージに近づく。後半は、感動的なセリフがたくさんでてきて、泣けた。特にラストの賢治の死の場面は、涙があふれた。
前半の「親の期待通りには育ってくれない」ということや「賢治自身、思った通りに行かない」ことが、後半のセリフの背景にもなっているので、共感がより深くなった気がする。
宮沢親子に役所広司と菅田将暉を配したのは正解。観ていて爽快とは言えない前半から映画に入って行けたし、映画の仕上がりを数段上げていると思う。
エピソードを上手に切り取ったり、感動的なセリフを創ったりした脚本の坂口理子さんにも拍手。アリガトガンシタは何度か出てきたが、どれも感動的。
津軽弁なので、セリフが聞き取れないところがあったので、Amazonの配信で字幕ONにして鑑賞。
コメントする
