「原作は気にならない」銀河鉄道の父 ルリ姉御さんの映画レビュー(感想・評価)
原作は気にならない
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原作が好きで何度も読み返していたので、とても楽しみだった。父親像と役所広司さんは、私のイメージとピッタリ。小学校に上がったばかりの賢治の入院のときに政次郎がかけつけるところから、親の愛はこれ程かと泣けた。役所さんはさすがの演技力だった。田中みんさんも貫禄がある。だが、当時の家父長制度の描きかたが弱いので、当主が病人の世話はしない、とか進学も含めてすべて当主の許しのもとに決まる、名家でも商家では小学校どまりの学歴だというところがわかりにくいだろう。食事のときの座り順などは、もっと原作に忠実なほうが、というか時代的な厳格ざがあるほうがよかった。喜助の晩年の老醜をトシがいさめるところは、原作のように祖父をたてた描きかたをしたほうがよかったのではないかと思う。祖父をビンタするのはやり過ぎだし、綺麗に死ねは、直に言ってしまっては台無しだ。賢治が傾倒する国柱会は、日蓮宗系の新興宗教だ、そこをちゃんと描かないと日蓮宗がヤバイ宗教になってしまう。監督も、それはほど若いわけではないから、時代と地域の研究と解釈がたりないのかと思う。
菅田将暉さんの演技力と役所広司さんの演技力の織り成す作品はすばらしいものがある。全体に言えば、原作と違うディテールもさほど気にならない。これはこれでよい映画だと思う。役所広司さんがじつによいキャスティングだ。
まっこと、ありがとがんした。
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YOUさんのコメント
2023年5月11日
宗教を扱うのはなかなかに難しいですね。
貶めてもいけないし、持ち上げてもいけない。
実際親父さんとはかなり激しくやり合ったようで、妹の発病〜死をきっかけに宗教観に変化があったようですが。