「MCUの狼男」マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション ウェアウルフ・バイ・ナイト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5MCUの狼男

2024年12月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

怖い

興奮

MCU初の本格ホラーテイストと言われた『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』だが、それはこちらの作品こそ。
劇場公開ではなく、MCU初の配信映画。

スーパーヒーローがいる世界が“表の世界”とすれば、もう一つの“裏の世界”。そこではモンスターが蠢く。
モンスターを狩るハンター。彼らのリーダーであるブラッドストーンが亡くなり、仲間たちが邸に集う。
ブラッドストーンがモンスター退治の際使用していた武器、同名の石“ブラッドストーン”。その継承を巡って邸内で争奪戦が繰り広げられる。
継母である夫人と折り合いが悪い娘のエルサ。帰郷し、巻き込まれる。
そんな中、一人のハンター、ジャックと出会う。実は、彼の正体は…

人狼の“ウェアウルフ・バイ・ナイト”。
ハンターたちの集いにモンスターが紛れ込んでいた…!
目的は…? ハンターたちに復讐し、石を手に入れる…?
…に非ず。
囚われている仲間を助ける為。
ハンターが善でモンスターのジャックが敵かと思いきや、ハンターたちの方こそクセ者。この善悪逆転こそMCUならではのミソ。
1時間弱の中編。それなりにアクションやVFXは盛り込んであるものの、迫力やスケールには乏しい。
本作の見所はズバリ、作風。

往年の怪奇映画へのオマージュなのは見て明らか。
モンスターハンターや人狼。吸血鬼やミイラも出てきそうな雰囲気。
邸なんてドラキュラ城のようだ。
白黒。時折画面にフィルムの傷が出るこだわりよう。
照明や雷鳴、モンスターのビジュアルもレトロチック。ウェアウルフ・バイ・ナイトのデザインも狼男そのもの。
マーベルの同名コミックがあるとは言え、またまたユニークな引き出しを見せたMCU。
それを手掛けたのが、MCU作品やピクサー作品や数々の大ヒット作の作曲家で知られるマイケル・ジアッキーノというのが驚き!

ガエル・ガルシア・ベルナルが“狼男アメリカン”ならぬ“狼男メキシカン”。
エルサ役の女優さんがクラシカルなホラーにぴったりの美貌。
それから、忘れちゃいけない囚われた仲間のモンスター、マンシング。見た目は不気味だけど、愛称が“テッド”だったり、意外や性格もキュート…?

今後のMCUとの繋がりは…?
系統が似た“モンスター系”ならブレイドとならあり得そう。
原作コミックでは、実写ドラマ化された『ムーンナイト』と繋がりあるとか。
これ一回きりは何だか勿体ない。ヒーローが登場しない異色のMCU作品だが、意欲的。

にしても、モンスターもお寿司好きなのね(笑)

近大