「ここは車探偵事務所かな?」映画ネメシス 黄金螺旋の謎 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
ここは車探偵事務所かな?
人気TVドラマ「ネメシス」の劇場版ということで、そこそこ期待して鑑賞してきました。舞台設定をほぼ忘れていましたが、冒頭に軽いおさらいがあったので思い出すことができ、最後までそれなりに楽しく鑑賞できました。
ストーリーは、探偵事務所ネメシスで助手として勤めるアンナが、自分に近しい人たちが順に殺されていくという悪夢を毎夜繰り返し見てしまうようになり、その夢の中で自分に警告を発する「窓」と名乗る男が現実にも現れ、やがてアンナの周囲で実際に事件が起きていくというもの。TVドラマからの地続きの展開であり、アンナの近しい人物として登場するのはTVドラマでおなじみの面々なので、できれば本作鑑賞前にTVドラマを視聴しておくことをお勧めします。
本作のウリは、夢と現実を行ったり来たりする展開で、そのうちどちらかわからなくなる感じはなかなかおもしろかったです。夢の謎が解けてからも、その真相や黒幕を推理させるおもしろさがあり、最後まで楽しめました。栗田がポリマーファンだというのも地味におもしろくて、車探偵事務所の車錠、鎧武士、南波テル、犬の男爵という構成や、ヘボ探偵、出自を隠した格闘技の使い手というキャラ設定も、ネメシスと同じだ〜なんて思いました。あと、ラストのオチのつけ方も悪くなかったと思います。正直言って「結局どういうこと?」って感じで理解できなかったところもありましたが、テンポに押し切られた印象です。
とはいえ、ツッコミどころというか、腑に落ちない点はやはり気になりました。例えば、風真のわざとらしい偶然が悪夢の謎解きに繋がるなんて都合よすぎないかな、あんな場所に壮大な地下施設を短期間で造れるのかな、そこに突っ込むのに警察に協力要請しないのかなとか。あと、そもそも黄金螺旋である必要があったのかも疑問でしたし、データが欲しいだけならもっとシンプルな方法が他にいくらでもあるんじゃないかと思いました。結局、夢と現実の境界をなくすような映像表現を取り入れることが大前提にあり、そこにストーリーを肉づけしたような印象を受けました。
主演は広瀬すずさんで、彼女の魅力は遺憾無く発揮されていると思います。共演の櫻井翔くんは、TVドラマに比べるとやや存在感が薄かった感じです。脇を固めるのは、江口洋介さん、佐藤浩市さん、笹野高史さん、南野陽子さん、真木ようこさん、橋本環奈さんら、なかなか豪華な顔ぶれですが、今ひとつ生かされてないような感じがしたのは残念です。