劇場公開日 2023年3月31日

「この世に晴れない霧がないように・・・真実は1人ひとつ!大丈夫デス・デス・デス」映画ネメシス 黄金螺旋の謎 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5この世に晴れない霧がないように・・・真実は1人ひとつ!大丈夫デス・デス・デス

2023年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ドラマ視聴済み。探偵事務所の仕事はかなりお粗末でヘッポコ探偵。名探偵コナンに出てくる毛利小五郎探偵事務所並み。櫻井翔が頭脳明晰なところを見せてくれると思いきや、天才的助手の広瀬すずが影から推理力を彼に伝えて事件を解決。まるでコナンに出てくる蝶ネクタイ型変声期のよう。今作品ではさらに阿笠博士の愛車のごとくVWビートルも登場。さらにアンナはインド式格闘術をマスターしていたり、チェスのナイトツアーが得意だったりと、多彩なところを発揮。そして、各話の最後に19年前の神田水帆が巻き込まれた事件が語られ、回を追う毎に全容が明らかになっていくというスタイルを取っている。さらに単なるゲスト出演していて、登場回以降もネメシス探偵事務所の協力者になっていく(大島優子、橋本環奈、真木よう子、上田竜也、奥平大兼など)。

 その他、「あぶない刑事」シリーズへのオマージュ。仲村トオルの出演もあるし、刑事二人の名前が同じ(タカとユージ、そしてカオル)。また、江口洋介の帽子からすると故松田優作『探偵物語』へのオマージュ。また、横浜という立地から『私立探偵濱マイク』シリーズへのオマージュも感じられるのです。このように、探偵モノの邦画好きにはたまらない設定ともなっています。

 映画ではいきなり主人公アンナがゲノム編集ベイビーだという簡単な説明もあるが、ドラマシリーズではその20年前に何があったかという謎めいた魅力があったのにそれが半減。夢の世界で起こる親しい仲間の殺人事件によって悩まされる、いわばVRやメタバースの世界観で精神的に追い詰められる主人公を描いています。しかし、ドラマの延長版といった出来映えだったし、ドラマを見てない人は若干置いてけぼりにされるかもしれません。

 管研と管容子、大和猛流といったゲノム技術を悪用しようとする研究グループは影を潜め、アンナの親友だったのに実は・・・といったエピソードの四葉朋美(橋本環奈)が登場するのみ。ただし、その研究結果・遺伝子操作を独占しようとする数百人の富裕層が存在している事実が語られます。一方で、貧困層、ホームレスたちの描写をも描き、『22年目の告白』、『ギャングース』、『AI崩壊』、『ビジランテ』といった作品に続いて社会派要素を盛り込んだ入江悠監督。今後も期待したい監督だ。

 TVドラマファン(にわか)としては青いヘンな食べ物が出てこなかったし、笹野高史の飼い犬のおかげで秋田犬マーロウが目立たなかったし・・・といった不満もあるし、TVスペシャルで充分だろうとも思ってしまう。ペンダントやトマトといった伏線も弱いし、エブエブやMCUのマルチバースで慣れてしまっているので、映像的にもインパクトが弱かったかなぁ・・・それでも広瀬すずの魅力はいっぱい。「ちょっと入ります」という能力はとても良い!

kossy