「ずばり ベルサイユのばら です。」ベルサイユのばら Japanese_Idiotさんの映画レビュー(感想・評価)
ずばり ベルサイユのばら です。
1.導入部 一気に観衆を物語に引き込む壮大な演出。素晴らしかったです
2.最終盤の見せ場もガチぎまりに良かったです。涙でっぱなし。周囲でも鼻をすする方、嗚咽を漏らされる方、多数
私はこの2点で大満足です。
他に言うことはないのですが、少しばかり筆を続けさせていただくと(長いw)
まず作品の題名。ずばり「ベルサイユのばら」です。ジークアクスでもオリジンでもなく「ベルサイユのばら」です。この事実だけでも、原作漫画リアル世代(TVアニメリアル世代)にはぶっ刺さります。演出の違いはあれど、キャラクターのビジュアルもストーリーの骨子も原作をまんま引き継いでおり期待を裏切りません。それがラストの感動を生むのだと思います。特にオスカルは神々しいまでの御姿で描かれ、それはそれは美しく・強く・儚い、真にベルサイユのばらでした。
演出面では他の方のレビューに詳しいですがミュージカル要素を大胆に取り込んだ点は新味がありました。やや戸惑いましたが「ベルサイユのばら」は宝塚の長年の演目でもありますから「味付け」としてはあり、と思えました。ルイ16世王朝期の華美さを表す演出と捉えても良いかもしれません。その証拠に導入部と後半部に歌唱演出は用いておらず純粋にストーリーと映像美で勝負しています。特に最終盤のシークエンスは、ミュージカル調で蕩けたところを銀の銃弾で射抜くような見事な緩急だと感じました。あとやたらに花びらが飛び交います(推定12万枚)が、そもそも漫画原作も花びらの嵐ですから、この花びらも実のところ原作に忠実な演出なのです。
なお、ストーリー後半になってオスカルがアンドレに心を寄せていく流れは、視聴中はやや無理やりっぽい印象を受けました。衛兵隊に籍を移す頃から、モブっぽく描かれていたアンドレが男味を増し艶っぽくなるのも不自然といえば不自然。ですがそれは漫画原作でも同じで、この点でも本作品は原作に忠実であると言えるでしょう。原作/TVアニメ世代は少女少年期に味わったベルばらの感動を追体験できたと思います(少なくとも私は)。
かたや、ベルばらに馴染みのない方からするとどうでしょうか。スキップ気味にストーリーが進み大味な面があることは否めませんが、本作ではオスカルに集中的なスポットライトを当てて彼女の物語を強く描き出したことで、原作や歴史背景に無案内でも楽しめる構成だったと思われます。