「あなたならその時どうしますか?心に問う映画」森の中のレストラン 未来さんの映画レビュー(感想・評価)
あなたならその時どうしますか?心に問う映画
主人公を含め、悲しみや葛藤を抱え生きている人達。
絶望を隠し、心のどこかで救いを求める人たちが深い森のレストランに集まってくる。
生きていくことに悩む人たちは人と出会う事でどう変わっていくのか。
そして、悩む人に出会ったときどう接したらいいのか。
生きていくことに絶望を感じている人、そしてそれを救えるかもしれない人。。。
映画ではそうした人たちの心の声がとても丁寧に繊細に描かれている。
悩んでいる人に寄り添い、関わることで孤独や孤立を防いで支援する人のことを
命の番人、『ゲートキーパー』というそうだ。
もし自分が主人公の立場だったらどう行動し、何が出来たのだろうか。
自分は辛さを抱えて生きていく人のゲートキーパーになれるのか。
観終わって時が経ってもなお、深く深く考え、自分に問いてしまう。
監督は「食べること=生」「命をいただく=死」を表すために森のレストランにしたと話されていた。
とても重いテーマでありながら、希望を見出せるのは、美しい映像、まるで森にいるかのような臨場感ある音のお陰だ。
辛いことの全て飲み込むかのような夜の漆黒の森は、木々がザワザワと不気味に、そして悲しげに鳴り響き、人の息づかいや足音までもかき消してしまう。
対照的に昼間の森は美しい緑、晴れやかな青い空、美味しそうな料理、穏やかな木漏れ日、ひとときの笑顔が、一筋の希望の光を感じさせられて救われる。
多くの人にこの映画を観て、『生きる』ということについて考えてほしい。
観る人の視点、立場でこの映画の感想も異なるのではないだろうか。
生きることに悩んでいる人は誰かに助けを求めてもいいと知ってほしい。
もしも今悩んでいない人もゲートキーパーを求めている人がいないか、意識して周りを見渡してほしい。
この映画がきっかけで、誰かの命を守る人、救われる人が増えたら、と切に願います。