「絵を盗まれた画家(バルボラ)と盗んだ泥棒(ベルティル)のドキュメンタリー映画」画家と泥棒 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
絵を盗まれた画家(バルボラ)と盗んだ泥棒(ベルティル)のドキュメンタリー映画
2020年(ノルウェー製作)
この映画は長編ドキュメンタリー映画ですが、
驚きのストーリーのあるドキュメンタリー映画です。
ドラマティックで感動的な愛の芸術作品です。
映画はバルボラの展覧会から白昼、絵を盗む2人の泥棒の
防犯カメラの映像から始まります。
その映像から犯人の一人ベルティルは捕まります。
そして公判で面会したバルボラが思いがけない提案をします。
泥棒のベルティルに自分の絵のモデルにならないか?
と言うのです。
身体中タトゥーだらけの怪しい男。
そして本当にベルティルがバルボラの家に来て、
絵は描きはじめられます。
(バルボラははじめ執拗に絵の隠し場所を尋ねます・・・
(ドラッグを使っていてまるっきり記憶がないというベルティル・・・
バルボラが描いた3つの絵があります。
①ベルティルと仲間のマックスに盗まれた「白鳥」
②バルボラが描いたベルティルの肖像画。
③ベルティルの上に覆い被さる裸身のバルボラの絵。
②を見たベルティルは子供のように泣きじゃくります。
母親にやっと発見された子供のように。
ベルティルは迷子でした。
①は見つかりました。
もう一人の泥棒・マックスが地下倉庫に立てかけてあったのです。
床の「白鳥」の絵に頬擦りするバルボラ。
愛する絵が帰ってきたのです。
③重なり合うバルボラとベルティル。
ラストに見たこの絵は衝撃でした。
2人はこんなにも互いを必要としていた。
この絵には横たわるベルティルの上に半裸で覆い被さるバルボラの絵柄。
ベルティルはバルボラが前世で産み、育てられずに捨てた赤子。
やはり2人は出会うべき半身。
2人は一枚の絵の中でカッチリと嵌め込まれる2個のピース。
そしてこの映画が素晴らしいのは、バルボラの絵のチカラです。
その絵の芸術性がこの映画を崇高な作品に仕上げる源泉です。
それと共に編集の巧さが際立ちました。
もし編集で時系列や場面を変えたら?
まったく別の映画になる・・・
そんな危惧も感じました。
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