ソウル・オブ・ワインのレビュー・感想・評価
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ワインへの愛で満たされている。
世界最高峰のワインを生み出すワイン愛好家の聖地、“神に愛された土地”と言われる、フランス、ブルゴーニュ地方。1年を通じて名だたる畑を守る生産者たちがワイン造りに魂を注ぐ。手の届かない高級ワインを飲んでみたいという欲望をかきたてる以上に、このドキュメンタリーは、ワインへの愛で満たされている。
生産者や樽職人たちが土壌や生育環境といった自然の真理について、有名ソムリエや醸造学者たちがワインやその歴史について語る内容は実に深く、哲学的でさえある。そんな言葉とともに、四季を通してワインができるまでを体験することができる作品だ。
超高級ワイン、「ロマネ・コンティ」ができるまでを丹念に描いた珠玉の1本
プロモーション映画かも知れないけれど、素敵です。
こんな話を聞いた、
真珠の鑑定士は、たくさんの真珠を見ながら目を養うのではなく、これ以上ないという最高の「花珠」を目に焼き付けておく事によって、良い物とそうでない物との質の高低、そして真贋を、瞬時に見分ける鑑定眼を作るのだそうだ。
でも、そのためには鑑定士は「花珠」を持っていなくてはならないんだけれど。
ワインも、そこを見極めるためには、修行は同様なのだろうか?
・ ・
本作の看板役者「ロマネ・コンティ」は
貴重な同社のエシェゾーを試飲させてもらったことがある。
舞い上がってしまい、味はよく覚えていない。
本作ドキュメンタリーの中では、僕が心の中でリスペクトしていたムルソーの作り手のコント・ラフォン氏も登場していた。動いて話をしている氏の姿に、あれには鳥肌が立った。
僕はワイン醸造所に勤めていた経験から、それこそ仕事と趣味を兼ねてたくさんのテイスティングはしてきた。
ワイン関係の映画もしらみつぶしに観ている。
けれど、
ブルゴーニュのグラン・クリュ=特級格付けは「39」もあるのだ。(ボルドーでは特級は5シャトーのみ) 。
その中でもドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティは赤では最高峰らしいが、「真珠の花珠」ではないが、あのクラスのワインを日々見極め、飲み比べて常飲しているセレブリティでなければ、グラン・クリュそれぞれの、味わいや好みや差異というものは分からないのではないだろうか? ましてや年ごとの出来不出来までを末端の我々消費者に判れというのは土台無理な話だろう。
そして
仕組みとしては、あのミシュランの格付けと異なり、ワインの格付けはパリ万博以来不動の地位として確定してしまっている。年ごとに出来上がりが違うワインを、その老舗ブランドを「基準」として業界全体を計るやり方。あれもどうかとは思うのだ。
毎年、批評家たちからの採点は上下することはありさえするが、1軍から2軍へ、セリエAからセリエBへの降格は無いのだから、ある意味特級畑は永久に安泰。
“国宝”なのだからそれはそれで仕方ないのか。
つまり、もう誰にも拝めない高値のワインについてあれこれ言える人たちは、「ショーメが好きかブルガリが好みか」といったような、うんちくとかイメージとかの宣伝文句が (瓶の中身と共に)最強のブランドとしての価値をまとってしまっている訳で、すでに伝説が不可侵にしてハイパーの、愛好家だけの内々のセレクト基準になっているのだろうなと感じるのだ。
ソムリエを驚かせる冒険をするのも、清水の舞台だ。
当たりか外れかは抜栓してみるまでは判らない。それでもレストランで飲めば仕入れ値の3倍でのサービスが相場なので、あれは簡単に2百万を超えてしまうのだから手も足も出ない。
お味は想像するしかない。
ちなみに空壜はもらって帰れないことが多い。詰め替えの不正を防止するためにレストランは瓶を割って処分するからだ。
ワインの暴騰を取り上げたこれと並ぶドキュメンタリーの「世界一美しいボルドーの秘密」や「モンドヴィーノ」などにそのあたりは詳しいが、
特級ワインは中国の富豪たちが先を争って縁起物として、あるいは投機物件としてワインをごっそり買ってしまうから、ますますグラン・クリュは雲の上の存在になってしまった。
廉価価格帯のワインも大量発注〜大量生産〜大量納品のもはや“工業製品”になってしまっている。
それでもこの映画では (ワイン流通の狂乱ぶりはよそ事として)、フランスの田舎で地道に守られてきた畑とか、土とか、緑の丘の四季を美しく映す。
農園の上を渡るすがすがしい風や、地下のカーブの新樽の厳かさを、絵はがきのように魅せてくれる。
作り手たちの働く姿に、そしてその言葉に魅了される。
そしてスポイトからグラスに注がれるハッとするようなガーネット色の照り。あれを目の当たりにすると、
これがロマネコンティ社のプロモーション映画だろうとは分かっていても、心持ってかれてメロメロになってしまうから
もう仕様がない。
せめてはいくらか安いセカンドを入手して、「この娘※がこの先どんな成長をしていくのだろうか」と、それを想像しながらリーデルを回すのがせいぜいである。
(※VINは男性名詞のはずだが地下のカーブで彼らは「娘」と呼んでいた気がする ) 。
土地に流れる時間を感じさせる
退屈な映画であった。飲んだこともないワインを語られてもね。
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