ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODYのレビュー・感想・評価
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中尾ミエ&野坂昭如
最初は中尾ミエに見えたが、だんだんホィットニー・ヒューストンに見えてきた。
最近観たエルビス、アレサ・フランクリン(リスペクト)、ビリー・ホリデー(FBI Vs.)の伝記映画と比べて、ナオミ・アッキーの伸びやかな歌唱力は群を抜いて素晴らしかった。
それと、歌手の母親役のタマラ・チュニーの歌も素晴らしかったです。どっちかと言うと、タマラ・チュニーの方がタイプ。若かったら、ティナ・ターナー役やれそうでした。
I Will Always Love You 、ドリー・パートンがオリジナルでしたか。黒人歌手がカントリーの大御所の曲をカバーして、代表曲にするなんて、なんてハッピーなんでしょう。リンダ・ロンシュタットのカバーをさらにアレンジして、素晴らしいバラードに。80年代らしい。
プロデューサー兼社長のクライヴ・デイヴィス役のスタンリー・トゥッチのおでこのシワ。なかなかエグいメイクで、可笑しかった。ちょっとやり過ぎ。志賀廣太郎や野坂昭如を思い出してしまいましたよ。
「私生活には干渉しない」が、後半効いてきました。
親父は一番しょうもな。
眩いばかりの栄光の傍にある深い闇からの絶唱に魂が震えました
1983年のニュージャージー。シンガーの母シシーの厳しい指導のもとで歌唱力を磨く彼女は母のバックシンガーとして度々ライブハウスに出演していたが、その類稀な歌声と美貌はたちまち評判を呼んでアリスタレコードのプロデューサー、クライヴ・デイヴィスの耳に届く。ライブハウスの客席にクライヴの姿を見つけた母シシーは急遽ホイットニーにオープニング曲として“グレイテスト・ラブ・オブ・オール”を歌わせると・・・からの実録ドラマ。
断片的にしか知らなかったホイットニーの波乱万丈が圧巻。ロビン・クロフォードとの関係は『ボヘミアン・ラプソディ』におけるフレディーとメアリーのそれの裏返しのようであり、マネージメントを仕切る父ジョンに徹底的に搾取され、夫ボビー・ブラウンに延々と裏切られ続けるくだりは『ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-』におけるブリトニーと父ジェイミーや元夫達とのそれと酷似していて、眩いばかりの栄光の傍にある闇の深さに胸が痛みます。
元々はカトリックの教会でゴスペルを歌っていたことは冒頭でも描かれますが、彼女の敬虔な信仰心は劇中で随所に滲んでいて、特に彼女がクライヴとの会話の中でマタイによる福音書について言及するところが印象的。絶大な人気を博しながらも一部の聴衆からは黒人的でないと罵られ、“手に入れた後でも愛には努力が必要”と嘯きながらどんなに働いてどんなに稼いでも砂漠に水を撒くように全てが霧散し消えていく。焦燥や絶望の中で憤りを露わにしたりドラッグを乱用したりして自分を見失いボロボロになりながらもなお彼女がなぜ全てを捨ててしまおうとしないのか、その答えの断片がマタイによる福音書に由来していることに気づくとドラマが俄然輝き始めます。そしてクライマックスを飾るのは私がホイットニーの歌でベスト中のベストと考えているあの曲。その歌詞が誰のことを歌っているのかが解った瞬間に涙がとめどなく溢れました。
ホイットニーの生き様を体現したナオミ・アッキーの演技は実に見事。前述のドラマにおける熱演も素晴らしいですが、『すてきなSomebody』のMV、数々のステージシーンやスーパーボウルでの国歌斉唱等名場面を再現したカットにはもう何度も泣かされました。
そしてこのドラマをがっつり支えているのがクライヴ・デイヴィスを演じたスタンリー・トゥッチ。『ボヘミアン・ラプソディ』におけるレイ・フォスターとは異なり、ホイットニーに寄り添い、彼女のわがままを受け入れて彼女のありのままを理解し支える献身を体現した穏やかで優しい佇まいがホイットニーの傍で小さく輝いていて、彼の一世一代の名演となっています。
2022年の映画鑑賞を締めくくるにふさわしい素晴らしい作品でした。
彼女の歌声を浴びる為に観る
我々アラフィフ世代が、特に歌唱力や歌声で「歌姫」を挙げるなら筆頭は彼女になるだろう。
彼女が「エンダーの人」として有名になってしまうのは、当時のファンとしては受け入れがたいのが正直なところで、彼女が『ボディガード』に出た辺りは、もう我々は若干彼女のピークアウトを感じていたから。(現実的には音楽活動から俳優活動にシフトしていたワケだけど)
それでも2012年の突然の訃報には驚かされた。
本作はその背景を描いているが、それもまたなかなかショッキングなものだった。
とは言え、この映画はとにかく彼女の歌声を浴びるように味わい尽くすこと、もうそのために存在すると言っていい。
プロデューサーに紹介しようと母親が彼女を独りで立たせたステージからもう圧巻なのだが、スーパーボウルの国歌独唱では(あのシーンを当時TVで観ていたのに)あらためて鳥肌が止まらなかった。
もちろん他に、本作中にも数えきれないほどのヒット曲か登場するが、ほとんどの曲が歌えてしまう自分に気付く。そのくらい当時は印象的で衝撃的だった。
そして、アーティストの自伝的映画ではお決まりの、最後の熱唱。
少し上映時間が長いので、ラストのライブシーンで尿意に邪魔されないようにご準備を。
結局スターが身を滅ぼすのはやはり「ドラッグ」と「金」と「SEX」。
彼女は特にドラッグだったワケだけど、「売人との取引」や「筒状に丸めたドル札」とか、象徴的なものは出てくるのに、直接的に摂取するシーンがボヤッとされているのは、レイティングシステムによるものか、遺族やファンへの配慮なのか、もしかすると「薬物表現のガイドライン」みたいなものに則しているのかも。
ホイットニー・ヒューストンが好きだった方なら、観ないという選択はあり得ない。
歌声の凄さにあらためて酔いしれる。
そんな映画です。
一人一人のアーティストに感謝
ひとことReview!
デビュー前の80年代から、2012年に亡くなる直前まで一気に描いたせいか、実に飛び飛びで何だかボヤけた作り。伝えるべきメッセージを明確にしなかったのが敗因か?
圧巻の歌唱に鳥肌
映画館の大音量で聴くべき。
人類史上最高の歌姫ホイットニー・エリザベス・ヒューストンの唄声を。
1991年の第25回スーパーボウルで試合前に国歌を斉唱。
この斉唱は史上最高の国歌斉唱と絶賛された。
私はこのシーンで、あまりの素晴らしさに涙した。
ホイットニーの凄いところはオリジナルを簡単に超えてしまうこと。
カバーは所詮カバーに過ぎず、オリジナルは越えられないものだ。
ところが「セイヴィング・オール・マイ・ラヴ・フォー・ユー」にしろ、
「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」にしろ、
「オールウェイズ・ラヴ・ユー」にしろ、オリジナルを遥かに凌駕している。
“ザ・ヴォイス”と呼ばれたホイットニー・ヒューストンの歌声は、
あのマライア・キャリーとセリーヌ・ディオンが
「初めて聴いたときに魅了された」「信じられないような歌声」と言い、
ビヨンセに「彼女のようになりたかった」と言わしめ、
アデルには「いつもホイットニー・ヒューストンのような歌声が出したいと思っていた」
と語らせている。
ファンじゃないけど引き込まれました。
彼女のファンでも無いし外国のポップスにも興味はありませんが、NFLファンで、スーパーボウルでの国歌斉唱のエピソードを見たくて観に行きました。
そのシーンは思ったより短めで残念でしたが、ホイットニー・ヒューストンの圧倒的な歌唱力とそれに魅了された人たち、結果的には翻弄された人たちのドラマに引き込まれました。
ホイットニーを熱演したナオミ・アッキーの演技は非常に素晴らしかったです。
彼女の短く駆け抜けた人生には、負に作用する人ばかりではなく、彼女のことを心から思っていた人たちが沢山いたのに、結局は負に作用する人たちに翻弄されてしまったことが一番残念ですね。その辺りも良く描かれていたと思います。
2時間超えの映画にも関わらず、彼女の歌が随所に盛り込まれたこともあり、長さは感じませんでした。私のように彼女の歌をそれほど知らなくても、彼女の歌声だけで十分心に響くと思います。ファンなら、なおさらでしょう。
今年最後に、素晴らしい良作を観ることが出来て満足です。
懐かしい曲がいっぱい
えんだああぁぁぁあいやぁぁあ。
『ボディー・ガード』で有名なホイットニー・ヒューストンの成功と挫折を描いた話。
今年公開されてた『エルヴィス』と結構共通点が多くて、時代は違えど金の匂いに集ってくる汚い大人やドラッグ問題、かつては輝いていたスターの栄枯盛衰。ただ、ホイットニーの場合レコード会社の社長さんは信頼できる人で、反面実の父親や旦那がダメだったパターン。レコード会社契約の時に「宇宙が無くなるまで」とか言ってて、ヒヤッとしたけど本当の癌は他のところにあった。
序盤から「私がボス」「私が男を捨てる側」など結構強気発言が多かったから、旦那も父ちゃんも簡単に切れそうだったのに結局沼にハマっていく。この強気な発言は内面の本当の弱さを隠すためだったとも言えるけど、何だかんだ実の父親をスパッと切り捨てられなかったんだろうな。
最初の恋人をマネージャーにするのも父親にまずは相談してるし。でも心も身体も疲れきってる人にまだ休むなと言うやつは1番信用出来んからなぁ。あとはドラッグ中毒になると正常な判断が難しくなって側にいる人に依存しちゃうんだろうな。
『ボヘミアン・ラプソディ』以降色んな音楽映画見てきたけど、最後はボロボロになって死んでいく人がほとんどで、こういうの見てると数年ごとに主力のグループがコロコロと変わっていく日本や韓国の事務所の内情もこんな感じだったりするのかもね。(でも唯一『ロケットマン』のエルトン・ジョンは今もカラフルで陽気なじいちゃんで安心する)
あの名曲が再び聴けて、それだけで幸せ!
まだ10代の頃、友人のススメでホイットニーのファーストアルバム「そよ風の贈り物」を初めて聴いた時の感動と衝撃。それからテープが擦り切れるほど(何本もコピーしてたけど)毎日毎日何度も聴いていました。あの時の感動がよみがえってきて!母のステージでホイットニーがソロで歌う歌唱シーンでもう涙腺崩壊でした!マスクの中で口パクしながら涙止まらず、、
以前観たドキュメンタリー映画とは全く異なる印象。あのドキュメンタリーは観てただ辛いだけだったけど、今回はホイットニーの母のサポートや素晴らしいプロデューサーとの出会い、どのようにして、あのそよ風の贈り物が誕生していったのか、それが、ホイットニーらしく描かれていて、とても良かった。
クズ男二人に蝕まれて崩れていく様は辛かったし、ああ、あんな男と結婚しなければ、まだホイットニーは健在だったかもとと思うと悲しい。人生って一気に良くなると落ち方も激しい…どんなスターでも良いだけの人生はないだろうけど、もう少し、あのザ・ボイスを聴いていたかった。
圧巻の歌唱シーン
希代の歌姫ホイットニーヒューストンの、デビューから亡くなるまでの半生を描いた作品。
伝記映画の常だが、主演のナオミ・アッキーもそれほど似ているわけではいない。
それでも、ホイットニーの苦悩と葛藤が、苦しくなるくらい伝わってくる演技と高い再現性が素晴らしい。
そして次から次へと登場するヒットナンバーは、特に大ファンだったわけでもない自分が今聴いても感動するレベル。
とにかく歌唱シーンは圧巻かつ胸熱だ。
ケビン・コスナーと共演した、映画初出演となる『ボディガード』のシーンも少しだけ出てくるが、公開から30年も経つんだね。
何もかも皆懐かしい。
ファンであってもなくても、世代的にストライクの人は楽しめると思う。
是非ご覧いただきたい。
優れた音楽映画
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