「【”哀しき歌姫。されど、彼女の歌声を知る者は、あの素晴らしき伸び行く高音域を聴いた時の高揚感は忘れない。”天賦の声を持っていた、ホイットニー・ヒューストンの激動の半生を描いた作品。】」ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”哀しき歌姫。されど、彼女の歌声を知る者は、あの素晴らしき伸び行く高音域を聴いた時の高揚感は忘れない。”天賦の声を持っていた、ホイットニー・ヒューストンの激動の半生を描いた作品。】
ー 彼女の訃報を知った時には、驚きはしたが”又、麻薬に呑まれてしまった人が出てしまった・・。”という思いが過った。
だが、今作を観ると、彼女が何故、麻薬に溺れてしまったのかが良く分かる気がした。-
◆感想
・”The Voice"と謳われた、音域F5までを伸びやかに、圧倒的な音量で歌い上げる大観衆の前でのホイットニー・ヒューストン(ナオミ・アッキー)の派手やかな姿は、矢張り圧倒的である。
特に、”I Will Always Love You"のサビの部分は、今聴いても、心に響く。
・驚いたのは、ホイットニー・ヒューストンのファンでもなかった私が、今作で披露される曲の殆んどを、時代が少しズレているにも関わらず知っていた事である。
それ位、日本でも彼女の全盛期での歌声が街中に溢れていたという事であろう。
・ホイットニー・ヒューストンの男運の悪さも、キチンと描かれている。
女癖の悪かったボビー・ブラウンとの出会いと、別れ。
だが、彼女を管理したがる実の父親の事は知らなかった。
病院に担ぎ込まれても、新しい妻の為に世界ツアーをするよう指示し、”俺の取り分は一億ドルだ。”と娘に言う、金の亡者と化した姿。
ー 彼女を追いつめた要因は、トップ歌姫の座を守るプレッシャーだと思っていたが、こんな父親がいたとは・・。そして、世界ツアーは散々な結果に終わってしまう。-
・今作を観ると、ホイットニー・ヒューストンを支えていたのは、彼女に歌を教えた歌手だった母、シシーと、彼女の才能を認め、その素質を開花させたアリスタ・レコードの敏腕プロデューサー、クライヴ(スタンリー・トゥッチ:名演だと思った。)だったことが良く分かる。
そして、彼女の愛娘の存在も。
ー ”I Will Always Love You"の原曲がドリー・バートンの曲だったとは・・。-
<ホイットニー・ヒューストンの早すぎる死 ― 48歳である・・。- は、哀しすぎるが、彼女の父親を含めた男運の悪さや、トップ歌姫の座を守るプレッシャーにより、麻薬依存症になってしまった過程がキチンと描かれた作品である。
劇中の多くの時間を彼女の歌唱シーンに当てた構成も ー スーパーボールでの国家斉唱シーンの素晴らしさ。- とても良いと思った作品でもある。>