ベスト・セラーズのレビュー・感想・評価
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ダメなキャラクターにダメダメなブック・ツアー、スカスカなシナリオ
マイケル・ケインには申し訳ないが、本作は駄作の一言に尽きる。
何故、駄作なのか?
①ダメなキャラクター設定
出版社社長の若い女性が経営の苦しい会社を立て直すために、かつての大作家に再び書かせようとするのだが、その過程で社長は有名作家をろくに知らないこと、会社の発行したベストセラーさえ読んでいないことが判明する。要は、出版社経営の適性がない。とすると、さっさと会社など売却したほうが、社員のためである。
②1冊しか書いていないくせに大作家とはこれ如何に
マイケル・ケイン扮する「大作家」は40年前にベストセラーになった1冊しか書いていない。いくら売れても、そんなのは「大作家」などと呼ばない。
しかも後後から見れば、実はその後も何作も書いていたのに、「最良の編集者である妻が亡くなったので発表さえしなかった」というのである。バカも大概にしてほしいw
③ブック・ツアーのアホらしさ
大作家マイケルはブック・ツアーに同行するが、その実自作の朗読などしたくないので、ひたすら「ブルシット」ならぬ「ブルシャイト」を連発したり、本に放尿したりしたら、それが面白いと評判を呼び、やがて本はベストセラーになっていく…というのだが、そんな訳ないだろww
少なくとも、小生にはそのどこが面白いのか、皆目見当もつかないのである。
④朗読される「大作家」の作品のつまらなさ
いくつかの警句じみた短文が披露されるのだが、そのどれ一つとして心に響くものがないのには驚かされる。シナリオライターは無能としか言いようがない。
いや、中に素晴らしい文章もあったのではないか? そう、あった。全部、フィッツジェラルド『華麗なるギャツビー』の引用だがww
作家を主人公とした映画では、ショーン・コネリーが世間に背を向けた老作家を演じた『小説家を見つけたら』が最高だと思う。本作はそれと比較すべくもないスカスカのシナリオだし、残念ながらマイケルにもかつての色気がない。
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