「俺だけが知らなかった号泣サスペンス・・・全てのお兄さんへ・・・」君だけが知らない kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
俺だけが知らなかった号泣サスペンス・・・全てのお兄さんへ・・・
キャストをチェックしていなかったため、夫イ・ジフンをずっとクォン・サンウだと思い込んでしまった。こりゃ、俺だけが知らなかった事実?などと、見終わってから愕然。そして、日本において頑なに夫婦別姓を拒んでる人のことも考えてしまった。
イ・ジフンは山の事故で記憶喪失になるくらい重傷を負ってしまった妻キム・スジンを看病し続けていた。元気になったらカナダのバミリオン湖の畔で永住しようと奔走し、幻覚を見るようになったスジンがおかしな行動を取らないかと心配なため常にスマホで位置確認していた。交通事故に遭いそうになった女の子を助けようとしたり、マンションの706号室で殺人が起こると訴えたり・・・
献身的な看病をする夫であったが、どこか怪しい。しきりにカナダのことを口にするし、退院してから住む部屋も違和感がある。記憶が取り戻せないまま海で泳いでみたりしたものの、ある日、元同僚にばったり出会い、自分の職歴を思い出そうとしてみたり、徐々に夫が本物かどうかも確信できないようになる。
記憶喪失と未来予知。ご都合主義的設定でもあるし、ハリウッド映画で似たような展開があったような気がする・・・何の映画だったかは思い出せない。二人の刑事が絡んできて、夫を逮捕させようとも考えたスジン。いかにも夫イ・ジフンが自分を殺そうとしているのじゃないかとミスリードする手法だったのだ。
1999年からは可能になったが、朝鮮や中国で同姓婚禁止という背景も知っておいた方が面白い。キム・スジンとイ・ジフン。壁に飾られていた結婚式の写真の謎や、途中から明かされるキム・ソヌという名前のギミックがストーリーをもり立てる。同じキム姓、もしや?と思わせるテクニック。そして未来を予知していたのではなく、フラッシュバック映像はスジンのトラウマとなる忌まわしい過去の記憶だったのだ。さらに夫の腕時計や、鳥の彫刻ネックレスといった小物も心地よく解決。
さすがに廃ビルとなったクライマックス舞台やマンション火災などはやり過ぎ感もあったが、それが悲しい結末へと導いてくれる・・・号泣。ここまでの兄妹愛はなかなか見られない。真実をなかなか打ち明けられない葛藤や、自己犠牲の精神は到底真似できるものじゃない!思いっきり泣きました。惜しむらくは中盤までの展開だろうか、海のシーンが良かっただけに残念。
○教訓:久しぶりに会って名前が思い出せない女性がいたら、「美人になってるのでわからなかった」と言おう。