「いつの時代も親子の関係は難しい」The Son 息子 ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)
いつの時代も親子の関係は難しい
ハイティーンの頃って自分は他の人となにか違うんじゃないだろうか?なんて思いがち。
十代の頃に身近な、そして上から押さえつけられる存在の父親、その関係性から「大人になったら自分は子供に対して絶対にああはならないぞ!」と心に誓うこともありがちではないだろうか。
それなのにいつの頃からか自分の成功体験を基に子供に対して「俺を見ろ!言われたとおりにやっていけば成功する、道を誤るな」なんて言っている我が身を振り返って「あれ、いつの間に親父と同じになっちゃてるよ」と愕然としてしまう。
そんなことがギュッと詰まったような作品でした。
今作で言えばピーター(ヒュー・ジャックマン)は息子ニコラスに対し、子供の頃に家族で出掛けた海での出来事がずーっと記憶の底にあって、励ますことが正しいのだと思ってしまったのではないだろうか。
自分が避けていた父(アンソニー・ホプキンス)に会いに行った際に言われる「通過してしまえば良いだけの年代、理解の良い父親像を私に見せつけているだけ」の言葉も的を得ている。そしてニコラスが両親を嫌い、でもすがりたい、二人の間で揺れ動きながらも自分というものを見出したい繊細な心。
どれもが正しいのではないでしょうか、でもどれもが正解ではないような。
ラスト近く、ニコラスが取った行為は、わかったような態度で接してくれていながら自分の本質に触れてくれなかった父への仕返しのように思えて、心が締め付けられるようでした。
我が子を失った経験のある私には身につまされるストーリーで、色々と考えさせられました。
「ナイススーツ」アメリカで成功する人の外見的な典型なんでしょうか。