TAR ターのレビュー・感想・評価
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推測し考えながら観ることを求められる
様々に推測し考えながら観ることを求められる作品です。
どんな映画だったと端的に伝えにくい、けれど、圧倒的なケイト・ブランシェットの魅力で非常に印象に残る作品です。
クラシック界の背景を知っているとより理解しやすく楽しめると思いますので、他のレビューにもあるように、事前にパンフレットを購入されることをお勧めします。
指揮者として権威ある立場のター(ケイト・ブランシェット)の栄光と転落が、ターの今の視点で一貫して描かれています。
いろいろな出来事から、人々に尊敬されるような輝かしくみえる側面と、生々しく不快で嫌悪を感じるような側面がみえてきます。
しかし、説明はほとんどなく断片的な情報しかわからない構成なので、観る人にはターの過去もわかりません。
作中で語られる出来事は事実なのか。
観る人はターに感情移入するよりも、傍観者として好奇心を掻き立てられるのではないでしょうか。
ターの視点では愛を交わし合う関係でも、弱い立場からすると自分の立場がどうなるかわからないから好意を断れないと受け取ることもできます。
これを逆手にとって、事実はどうあれ「強要された」と触れ回ることでターを陥れることもできます。
権威ある人はちょっとした振る舞いでも強い影響を与えかねないと、戒めるメッセージもあるように感じられます。
ラストの描写は、底辺に落ちた滑稽な指揮者といいたいのでしょうか。
私は、ターがどんな環境でも音楽を愛し尽くし、オーケストラ指揮者として新たな地を切り拓いていく姿として受け止めます。
ケイト・ブランシェットのはまり役
長い映画だったけれど全く飽きなかった。
音楽について門外漢の自分には遠い世界のことだったので
音楽家の名前や専門用語が出てくるとついて行けなくなるし
物語の全体像が自分の中で理解しきれなくもあった。
(単に自分が頭が悪いからかもしれないが)
十分に分からなかったことを差し引いても観て良かったと
思う。それは主演のケイト・ブランシェットの力による。
役者が役を演じて台詞をしゃべっているというより
ターという音楽家がそこに存在していると感じさせるほど
見事な演技だった。音楽の解釈について学生や関係者と
話す内容は、おそらく音楽に素養のある人が聞いても
感心させられるもののような気がするし、楽団員にドイツ語で
指示を出すところも指揮をする姿も本物っぽかった。
できれば解説を読んだりした後にもう一度鑑賞してみたい。
ギフテッドのすごさと生きにくさ…普通に生きる幸せを実感(*^-^*)
上映時間158分、息を詰めて観ていたら、映画が終わっていたという感覚。
突出した才能がある人が、普通の社会と折り合って生きていく難しさを感じた。
特にSNSが発達した現在、才能があれば多少のハラスメントは許されるというような寛容な社会ではない。
声をあげられず人知れず苦しい思いをする人が減ればいいな。
今話題の某事務所の問題、世界でも起こっている。
性的な接触って、相思相愛の相手とした方が絶対気持ちいいと思うけど。
権力があって、精力的な人って、そのあたり歯止めがきかないのかな。
食欲に置き換えると、そこは私も理解できなくもない…。
主人公は、世界を音楽で理解し、表現する。
音楽には、ものすごく真摯で誠実。
そこは、ホントに尊敬する。
音楽に対する態度で、周りの人たちにも向き合っていたら、最高に敬愛される音楽家として幸せな人生を送れただろうに。
主人公の感覚が張り詰めた日々は、私にとっては心を牢獄に入れられるようなもの。
耐えられない。
帰り道、平凡に、自由に、その他大勢として生きる幸せを、思わずかみしめた。
フィクションなのに、怖いほどリアリスティック!
それは脚本がよく練られているからか、ケイトの迫真の演技のおかげなのか、それともその相乗効果なのか、私にはよくわからなかった。けれども、観ている間、最初から最後までピリピリした雰囲気が漂っていた。インタビュー場面から始まって、かなり観念的な印象で、ちょっと手に負えない映画かも?と思ったが、だんだん言葉だけでない場面が積み重ねられてゆき、引き込まれていった。何年もトップに君臨し、権力を手にして思い通りに生きてきた主人公が、どんどん追い込まれていくところが、怖くてこちらまでドキドキさせられた。ケイトが指揮やピアノも自ら手がけたというが、びっくりするくらい自然だった。終盤、心を病んでしまったのではないかと心配してしまったが、ラストは少し救われた気がした。2時間38分の長さを感じさせない緊迫感あふれる映画だった。
序盤の対談場面は動きがなくちょっと退屈かもしれない。少し冗談が混じ...
序盤の対談場面は動きがなくちょっと退屈かもしれない。少し冗談が混じった話しはまあまあ面白い。
後半はその反動もあってか、転落していくリディアが怖いし、面白い。
ケイトブランシェットの演技が凄い。
メモ書き
パンフレット読んで2回目の鑑賞。
ターの虚飾、自己プロデュースの巧みさと苦しさ。
ハイカルチャー/サブカルチャー
男/女
ヨーロッパ/アメリカ/アジア
異性愛/同性愛
真実/嘘
権力と加害性と、そこからの自由…
男性に占められていた権力をレズビアンの女性が得たとき
ニーナホスがいい表情
めちゃくちゃ面白かったもう2度と見たくねえ
日常生活の嫌なところをひたすら見させらるような映画だった
終始まだ終わらんのか?救いはあるんだよね?って思いながら見てた(なかった)
考察のしがいがある映画だったから見終えた今も情報を集めたい映画
奥が深いらしのだが…
すいません。全く解りませんでした…。
「MOJIの映画レビュー」というブログに詳しく解説が書いてあり、あぁ…こういうことなのねと納得して、それを知って観ると、だいぶ見方が変わるかもしれないけど…。
ケイトブランシェットに釘付け
最初から最後まで、ケイトブランシェットに釘付けでした。
実在の指揮者の生き様を圧倒的な演技力で見せてくれた‼️
細やかな心情を、表情では勿論、光と影、音で表現している。
クラシックは、あまり馴染みのない私ですが、楽しめました。
レビューで、パンフを事前に読むと良いと知り、その通りにして正解でした。見終わった後も読み返してなお一層理解が深まり、面白かったです。
ケイト・ブランシェットを鑑賞した
えーっと…
『出る杭は打たれる』ってこと???
周りは敵ばかり???
というか、ターは自分が引き寄せてるタイプじゃないのかなー
しかし、セリフ多かったなー
かと言って、クラッシックに詳しくないので、あまり入ってこなかったのねー
クラッシックに造詣が深い人が観たら、もっと興味深いのかもなー
ケイト・ブランシェット主役の舞台みたいだったなー
オーケストラが生で、舞台だったら、ものすごく面白そう!
少し尺を縮めて貰ってね
何はともあれ、ケイト・ブランシェットがカッコ良かった!!
だから集中して観られた
目眩するほどの面白さ。私は何を目撃してしまったのだろうか?
完璧主義で、冷徹な超実利主義な天才指揮者ターが、ある過去の行いが原因で、次第に身近な人間に嫌われて全てを失ってしまうだけの話、なのだが、眩暈するほど面白い。
実際、劇場を出た後、クラクラしてしまったのは、2時間38分の上映時間による空腹のせいだけではないだろう。
映画の最初のおよそ1/3はターの、世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を統べる指揮者として、そして、同性のパートナーと養子の子の3人で構成された家族の長(実際、自分でパバと言ってる)としての、完璧な生活が描かれる。
このパートでは、彼女が指揮をするオーケストラのメンバーはもちろんのこと、世界的な名声を持つ友人の男性指揮者など社会的地位のある人間から畏敬の念を抱かれているターの、この世界で大成功を果たした女性として人物像が浮き上がる。
そして同時に彼女は、マーラーやバッハといった偉大な作曲家が後世に残したスコアを完璧に理解し、それをオーケストレーションでどう表現すべきかを完全に自分のものにしている。まるで音楽の神の信託を受けたイタコまたはインタープリターだ。
そんなターは、家庭でも完璧に大黒柱を担う。しかも、働いてるだけであぐらをかいているような旧時代の父親であるはずもなく、娘の学校への送迎もするし、パートナーの精神的不安定さのケアもでき、LGBTQ的にもジェンダー平等的にも花丸人生だ。
だが、映画では彼女のそんな姿をハートウォーミングな形で描いていない。常に画面のトーンはひんやりとしているのだ。
ターの公私における有能ぶりは翻すと、人生を完全にコントロールでき、他者を手なづけ従わせられているだけであり、画面からはそんな彼女の情の薄い心の有様がうっすらと滲み出ている。
綻びはすでに始まっている。
誰かがSNS上でターを馬鹿にしている映画ど頭の会話。アシスタント・シャロンの、いつもどことなく憂いと不安定さをかかえている表情。ターの聴覚過敏。そして、極めつけはロシアからやってきた小悪魔的な新世代のチェリスト・オルガ。
かつて社会において男性が掌握していたパワー、権力を身につけたターが、現実世界においてそれらの男性の一部が欲望のアンコントロール、力の過信、他者の軽視によって人生を転落していったのと同じ末路を辿った後、この映画がたどり着いた終着点。それは、ターに残されたわずかな希望を痛烈なアイロニーにのせて提示される。それを果たして私たちは、どうとらえるべきなのだろうか。
細かい説明は抜きだ!
評価分かれる作品。
主人公の視点、、というほどではないが彼女に見えない物は描かれていないし周りからの目線も必要最低限。だから説明が少なくなりがち。
これは彼女の音楽に向き合う真剣な姿勢や追い込まれていく過程において効果を発揮していると思う。自分の周りでどんどん何かが悪い方に動いているのを感じてはいるけどはっきり伝えられてない孤立感、それを見てる我々も共有する仕組みなんだと思ったよ。
サウンドデザインも素晴らしい。小さな家電の電動ノイズ、サーボモーター音から、爆音オケまで最大限効果的になるように無音部を大切に精密に設計されていて凄い。
あまりに実在の人や場所の名が出てくるからTarが実在の人の様に感じる、これで女優業終わりにする的な発言が出るくらいケイト様の演技もキレッキレで主演女優賞は個人的にはこちらだったと思う。
昔漠然と世界の指導者が皆んな女性になれば世界は平和になるんじゃなかろうかと考えた事もあったが、程度の差こそあれ男も女も人間ハマるところは一緒なんだなと再確認した。あと自分にクラシックの知識があれば三割り増しで楽しめたかもしれないのが残念である。
最後の落ちは日本人的にもやもやが残るが、まあリアルな現実だろう。
彼女が真剣に取り組んでいるのが救いだ。
良い意味で怪演
ケイト・ブランシェットの素晴らしい演技を見るためだけの映画と感じました。本当に彼女は素晴らしい!
ただ、登場人物の関係の説明がないままストーリーは進むので、最後までそれぞれの立場や考えが想像できず、一つひとつの所作や行動に対して理解できなかった。せめて私にオーケストラのしくみ、その世界での上下関係などの知識があれば、推測しながら鑑賞でき、楽しめたと思う。
オープニングなのにエンドクレジットのような演出、長く内容が理解できない冒頭のディスカッション場面のせいで、私の周りの多くの方が寝てしまっていた。絶対映画で寝ない私もこのあたりは必死に睡魔と戦うはめになった。疲れた。
饕餮(貪り喰らうモノ)
惜しかったなぁ。マックスへの教示に掛けたマウントは結構納得出来たし、自分自身がそこに呑み込まれていく様は見どころあったのだけれども、自殺しちゃった彼女の事をふわっとさせ過ぎたからか、後半の印象がボンヤリ。モンハンプレイヤーとしては最後のアレも作品としては理解出来るが、ちょっとイラッとしちゃったよね。
2回観なきゃ→2回観たので追記
6/24 2回目は常館の横浜ジャックアンドベティで
解らないまま進行していった1回目の鑑賞に対し
今回は余裕で詳細を確認しに行ったつもりが
知れば知るほどこの作品には一瞬のスキもないことに気付き全く気が抜けなくなった
まず前半の音楽に対する姿勢や考え方そして悦び
オーケストラと指揮者の関係性などが対談や授業風景やリハーサルでものすごく発信されているのでオケファンとしてはぐいぐい引き込まれる そして
後半は不穏な空気がいっぱいになり転がって行く
神経質でストイックな反面、感情に素直なターは
若い女性演奏家にすぐ惹かれる、それが問題を増やしているようだ
しかし偏見で逆差別かもだけどやっぱり女性の方が能力高い
あたしも能力の高い集中力のある女を見ると惚れ惚れする
レズビアンじゃないけど惚れる
ケイト・ブランシェットの演じることへの執念にも惚れる
ターのパートナーが女性コンサートマスター(コンサートミストレス)でもあるというシチュエーション
目配せが本当に女房然としていて素晴らしい演技
異性でも同性でも同じなんだな浮気される奥さんの気持ち、心配。。。
女房の助言通り行動していればこんな転落はしなかっただろう
歴史と芸術文化の積み重なったクラシック界と
SNSで育った若いアーティストとのギャップが面白いところで
バッハを性的理由で避けて音楽を学ぶ学生がいたり
SNSでハラスメントを訴えたり
ロシアの若いチェロ奏者がデュプレの演奏に影響を受けたそうだが
Youtubeで見たエルガーのチェロ協奏曲はデュプレといえばバレンボイムと
誰でも想像つくが若い奏者は「指揮者?誰か知らない!」と言い放ったところが一番あたし的にウケた
オカルト的な場面がちょくちょくあって混乱させられたけど
結果何の関係もなくそれはただのエンタメ要素であったし
よくよく見るとターに致命的な蛮行はなかった
本当に音楽とその作曲者を心から愛する人だったと二度目の感想
とにかくターを演じるケイト・ブランシェットがすごい!!
1回目のレビュー
ほとんど説明なく進行し
じわじわと傲慢なターの裏側から崩れて行く様
この大きな流れを
緊張感のある2時間半の作品全体をあれこれ考えず味わう
すべてはケイト・ブランシェットの演技に釘付け………
名曲大曲であれば同じ曲でも指揮者でぜんぜん出来上がりが違うし、この指揮者のはイライラする、とかグッと来るとか、自分の好みではあるけど
あたしはそれくらいの並のクラシックファンです、1年に数回はオケを聴きに行くくらいの
なのでターの曲に向かう姿勢やこだわり
奏者と観客への指揮の見せ方
それを全てカッコよくケイトブランシェットは表現してくれてるので痺れる
あとはターのプライベートに関して
よくわからなった部分をもう一度観たら完璧
空耳アワー
世界最高峰オーケストラ、ベルリン交響楽団の女性初常任指揮者、リディア・ター。もちろん架空の人物だけど、数年したら現実になったりして。ターは楽団内のバイオリン奏者と同性カップルで、養子を養育し、指揮者としても評価され、順調な日々を過ごしている。が…ちと問題が…。
楽譜の読み込み、作曲、講義、練習と、めっちゃ忙しいターは、ささいな音が気になる。ドアベル、ノック、メトロノーム。そしてどこか遠くから聞こえる悲鳴。これ、完全に病んでるよなぁ。
すごく濃密な作品で、クラシック音楽も素晴らしいのだけど、ちとつらかった。ケイト・ブランシェットの力量ハンパない。
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