「フィクションなのに、怖いほどリアリスティック!」TAR ター 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションなのに、怖いほどリアリスティック!
それは脚本がよく練られているからか、ケイトの迫真の演技のおかげなのか、それともその相乗効果なのか、私にはよくわからなかった。けれども、観ている間、最初から最後までピリピリした雰囲気が漂っていた。インタビュー場面から始まって、かなり観念的な印象で、ちょっと手に負えない映画かも?と思ったが、だんだん言葉だけでない場面が積み重ねられてゆき、引き込まれていった。何年もトップに君臨し、権力を手にして思い通りに生きてきた主人公が、どんどん追い込まれていくところが、怖くてこちらまでドキドキさせられた。ケイトが指揮やピアノも自ら手がけたというが、びっくりするくらい自然だった。終盤、心を病んでしまったのではないかと心配してしまったが、ラストは少し救われた気がした。2時間38分の長さを感じさせない緊迫感あふれる映画だった。
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