劇場公開日 2023年5月12日

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「名優ケイト・ブランシェット」TAR ター shantiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0名優ケイト・ブランシェット

2023年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

凄い演技力だ。表現力も素晴らしい。役に打ち込む姿勢も目を見張るものがある。ケイト・ブランシェットは言わずもがな特別な俳優である。
内容はパワハラの行く末を描いており、経歴がどれほど素晴らしくとも、人間性に難があると足元を掬われかねないと人生訓を分かりやすく映像化している。ジェンダーの更なる先にある人間たるものの所作が問われている。象牙の塔が如きクラシック界の男性社会を糾弾しつつも、その環境に囚われ、過剰なはどの欲望と欲求を満たすために利用する自らのステイタス。知性がずば抜けていても、卓越した音楽的才能を有していても、それらは幸運にも備わっている能力に過ぎず、根源的な人間性に全て起因する行動と反応が内にも外にも遺憾なく発揮された結果が、自らを引き上げるか、叩き落とす運命の支配であり、翻弄されるばかりが生々しい人間そのものなのである。
そもそも、本当の答えは事の始まりに出ているのだ。その答えは純粋に「好き」というものである。音楽が好きという答えに気づいた堕ちたターは世界中をドサ周りしようとも、情熱は失ってはいないのだ。例えゲームイベントの指揮者へと落ちこぼれても、気づいた後の強みはある。矛盾のない音楽との関係は常にシンプルであり、それを自らが望んでいるのならば、救われた新たなる出発なのではないか?

shanti