「同性愛が許されない時代のイタリアが強烈」蟻の王 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
同性愛が許されない時代のイタリアが強烈
昨年鑑賞した『シチリア・サマー』、『インスペクション ここで生きる』が同じテーマを扱っているかなと思います。
同性愛が許されなかった時代のイタリア、本作では1960年代を描いていますが、『シチリア・サマー』は1980年代ですから
全く変化していないのですよね。今は変化しているのか、私としてはすごく疑問が残ります。
そう簡単にこういった偏見がなくせるのか、人間の建前と本音は別なのでは?と、どうしても考えてしまいます。
本作で更生施設(病院)が出てきて、電気ショックで同性愛を治療しようとするショッキングなシーンがあるのですが、
さすがにこれは拷問だろうと思いましたし、その治療を受けた男性は病んでしまってしまうわけで、
人間の尊厳とは?ということも深く考えさせられました。
『シチリア・サマー』では、更生施設というワードは出てきましたが、どういうことをされるのかまでは描写されなかったので、
本作でショックを受けました。
本作は法廷シーンが中心に描かれているので、ちょっと思っていた内容とは違っていたのですが、
実にせつない、やるせない気持ちになる映画でしたね。
ただ、こういう作品は多くの方に観ていただいて、多様性の本質、人間の本質といったことに
思いを馳せていただければ良いな〜と思います。
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