「フローレンス・ピューの美しい鼻」サンダーボルツ* Enta The Knightさんの映画レビュー(感想・評価)
フローレンス・ピューの美しい鼻
フローレンス・ピューが主演ということで、観に行きました。スッと通った鼻筋にツンとつり上がった鼻先。力強い目と眉。ブロンドのワイルドなショートヘアー。特に横顔のショットでの鼻の美しさ。そして可憐さ。自分にとっては、日本が誇る菅田将暉と双璧をなす鼻の美しさ。大画面で堪能しました。
これまでマーヴェルの映画には興味をもてず、今作が初めてのマーヴェル作品。今作もフローレンス・ピューが主演とはいえ、正直どうしようかな…と迷った末に観に行きました。結果、観に行って正解でした。登場人物や作品の背後にある大きな流れなど、何となくしか知らなくても全然問題無かったです。やはり単体の作品として成立してこそ映画。
私は本作を、『影との戦い:ゲド戦記1』や『はてしない物語』などのファンタジー作品の変奏として楽しみました。"void=空虚"の侵食とそれに対する戦い。それを通じての成長と仲間たちとの絆。『指輪物語』も彷彿とさせます。というよりも、中世叙事詩から続く成長譚的なファンタジーの定型の一つなのでしょうね。自らの抱える空虚さ、影、トラウマに慄きながらも何とか乗り越えるというある種普遍的なテーマを、現代的なメンタルヘルスとケアの話に接続した作品と言えるのかもしれません。
勝手なイメージで、マーヴェル作品=不自然なライティングのグリーンバックバキバキ映画なのかなぁと思っていたら、そうでもなかったのも良かったです。パンフレットを読むと、「実物に囲まれていて良かった」的な役者陣のコメントがいくつか載っていて、そらそうだよなぁ、と思った次第。やはり役者が活き活きしている映画が良い。フローレンス・ピューの心を開いたボブ役のルイス・プルマンも、絶妙な表情の芝居で良かったです。
こういうトーンの映画なら、またマーヴェル作品も観てみたいなと思わされる作品でした。というか、フローレンス・ピューが出てたら絶対観に行く!
(一つどうしても気にかかってしまったのが、原爆を想起させる影の演出。意図的なものなのかどうかは分かりませんが、日本人としてはどうしても引っ掛かるところではあります。)