劇場公開日 2022年10月7日

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「振り込め詐欺というありそうでなかった題材をスリリングに活写した韓流サスペンスアクション」声 姿なき犯罪者 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0振り込め詐欺というありそうでなかった題材をスリリングに活写した韓流サスペンスアクション

2022年10月22日
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鑑賞方法:映画館

釜山の建設現場で働くソジュンは元刑事。真面目な仕事ぶりが現場の所長に認められて正社員にならないかと誘われた矢先に現場周りで通信障害が発生、その間に大規模な振り込め詐欺が発生し、自分の妻と職場の同僚が被害に遭ってしまう。ソジュンは奪われた資金を取り戻すべく振り込め詐欺組織に潜入を試みる。

臓器売買目的の誘拐や猟奇殺人、犯罪組織間の抗争等血生臭いネタが多い韓流サスペンスの中で詐欺組織への潜入というプロットは非常に新鮮。主人公がなぜ警察を辞めて建設現場で働いているのかという背景をチョイチョイ匂わせつつ、新たな詐欺計画を次々に繰り出す詐欺組織のリーダー達、組織を一網打尽にすべく地道に奔走する警察、格差社会に搾取され犯罪に手を染めるしかなくなった詐欺組織末端の構成員、そして慎ましく穏やかな生活を一瞬にして破壊された詐欺被害者達といった人間模様も丁寧に拾っていながら、組織に潜入したソジュンと詐欺組織の企画室リーダーのクァクの対決に少しずつフォーカスしていく展開がスリリング。韓流サスペンスにしては珍しくレイティングがGですが、だからといって生温い映像になっているわけではなく、皮肉な因果を匂わせる終幕に静かな怒りを滲ませた熱いドラマになっています。

主人公のソジュンを演じるピョン・ヨハンのジェームズ・マカボイに似たクールな佇まいのが印象的で、敵対するクァクを演じるキム・ムヨルの憎々しい不敵な笑みとのコントラストが鮮やか。ソジュンを陰でサポートするハッカー、カンチルの活躍が全編暗いトーンの中でアクセントになっていて、演じるイ・ジュヨンの軽やかな演技が花を添えています。

よね