「よい敵役あってこそ輝くマ・ドンソク」犯罪都市 THE ROUNDUP おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
よい敵役あってこそ輝くマ・ドンソク
みなさんのレビュー高評価に誘われて鑑賞してきました。韓国のアクション映画はあまり観たことがなかったのですが、なかなかの迫力で、ストーリーもわかりやすくておもしろかったです。後で知ったのですが、本作は続編らしいです。前作は未鑑賞ですが、それでもほとんど問題なく楽しめました。
ストーリーは、国外逃亡した容疑者を引き取りにベトナムに向かった刑事のマ・ソクトとチョン・イルマンが、容疑者の言動から背後にある事件に気づき、独自の捜査でカン・ヘサンにたどり着き、彼を追って韓国に戻り、じりじりと追い詰めていくというもの。
登場人物が多くて顔と名前が一致する前にどんどん殺されていきますが、それでもストーリーから置いていかれることはありませんでした。それだけわかりやすい描かれ方をしていたのだと思います。また、多少のご都合主義もありますが、テンポよく展開していくので気になりませんでした。ところどころに差し込まれたコメディ要素もいいスパイスになっています。おかげで、上映時間のわりには濃密な内容になっていたと思います。
見せ場のアクションもなかなかの破壊力で見入ってしまいました。冒頭のコンビニ立てこもり犯制圧からの目線入りの新聞記事は、マ刑事の紹介とともにこの先の展開を予感させるナイスなアクション&コメディでした。警察ものなのに銃撃シーンは全編通じてごくわずか。しかも、銃はほぼほぼ役に立ってません。基本的に刃物を持った悪党を素手で殴り倒していくという、力技の展開です。しかし、これがいい!見慣れた銃撃アクションとは一味違う、相手を力でねじ伏せるようなパワフルなアクションが小気味よかったです。
主演はマ・ドンソクで、巨体を生かしたアクションととぼけた顔で笑いを誘う言動とのバランスが絶妙でした。そんな彼の活躍を引き立てていたのが、カン・ヘサン役のソン・ソックです。彼が醸し出す、人を人とも思わぬ残虐性、仲間さえも震え上がらせる狂気が、本作をしっかりと下支えし、作品の緊張感を高め、物語を成立させていたと思います。本作の影の立役者だと感じました。