劇場公開日 2022年9月30日

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「母親の愛情に感動しながらハラハラする展開」ドライビング・バニー たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5母親の愛情に感動しながらハラハラする展開

2022年9月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

オンライン試写会にて鑑賞。

これほど母親の子供への愛情あふれる姿をストレートに見せる映画はザラにない!
観終わって、胸いっぱいに愛が浸み込むような映画であった。

この映画、ある事情によって自分の子供達になかなか会えず、会えたとしても監視人付きでしか会えない母親バニーが、なんとか子供達と一緒に住めるよう、懸命に働いている。
バニーは「娘の誕生日までには一緒に住める家を探して暮らしたい…」という強い願いを持って一生懸命に家探しもしていたが、自分の妹の家に居候していた時に姪のトーニャ(トーマシン・マッケンジー)へ言い寄る義理父の姿を見て「トーニャを守りたい!」と激しい行動を起こしたことから家を追い出されてしまう。
子供達と一緒に住む希望は遠ざかったように見えたが、バニーはトーニャを連れて……といった流れで物語が展開していく。

母親の子供への愛を描くだけでなく、その後の「出来事(事件)」をも描いた起伏に富んだ見事なドラマ。

主演はエシー・デイヴィスというオーストラリアの女優で、車の窓拭きとして働きながら、なかなか会えない自分の子供たちを愛する女性を見事に演じており、「この映画の母親役になりきった!」という感じ。
この女優は、やはり今年日本公開された『ニトラム/NITRAM』というクライム映画では優雅な女性を演じていたが、本作では貧しい系の女性を演じており、そのなりきり方の幅広さを感じさせられた。素晴らしい女優である。

また、共演のトーマシン・マッケンジーは、昨年日本公開された傑作『ラストナイト・イン・ソーホー』は劇場で2回観たが、そのほか『ジョジョ・ラビット』や『オールド』でも存在感を見せた若手女優のホープと言えよう。
本作を観たのも「トーマシン・マッケンジー出演作だから…」なのだが、共演女優として主演女優を引き立てる上手さが見られた。
本作でも、とても綺麗である。

原題は『The Justice of Bunny King』であり、邦題が『ドライビング・バニー』とされているのでロードムービーっぽく思えるかも知れないが、ちょっと違うと思う。
直訳して『バニー・キングの正義』だと確かにちょっと固い感じかも知れないが…。
(※ バニー・キングは、母親のフルネーム)

しかし、本当によく出来た映画であり、途中は(サスペンス映画とは違った)「宙ぶらりん感」が物語の先を気にさせつつ、クライマックスでは事件性を背景にしながら母親の愛情表現も描くという贅沢な展開に、驚きながらも感動させられる見事な映画であった。

<映倫No.49341>

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たいちぃ