「4月、新生活を送るみなさんへ」マルセル 靴をはいた小さな貝 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
4月、新生活を送るみなさんへ
苦難にみまわれつつも、自然体で軽やかとしなやかに乗り越えてゆく貝のマルセルが魅力的だった。
そんな本編、大人の絵本といった仕上がりか。
可愛いキャラクターをめでるもよし、深読みで人生哲学に触れるもよしだ。
人は変化を恐れるし、冒険にリスクはつきものだが全てが最悪に終わると決まってもいない。祖母にも押されて少しばかりの勇気を振り絞ったマルセルは、
そうして飛び出した安全地帯の向こうで世の中とのかかわりを築いてゆく。
そのかかわりという広がりの、他愛ない明るさがいい。それこそ4月、新生活に入った人に見てもらいたい、きっと大丈夫と囁きかけるような物語だった。
この優しさと力強さと、一抹の寂しさが入り混じったラストは、
冒頭からでは想像もつかない。
途中、マルセルに移民や難民をだぶらせたが、それはたぶん考え過ぎだろう。
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