「ギョーム・ブラックの小宇宙を堪能。」みんなのヴァカンス 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ギョーム・ブラックの小宇宙を堪能。
ギョーム・ブラックが前作に続いて、職業俳優でなく、ワークショップの参加者たちを使って撮ったバカンス映画。それにしてもよくもまあ参加者たちそれぞれの魅力を引き出したもんだと感心しきり。ほどよく感じが悪かったり、それでいてそれなりに悪いやつではなかったり、人間性の配合が絶妙。そしてどんな居心地の悪い瞬間も、一貫して優しい視線が感じられるような気がするのは、つい作り手を信用してしまうギョーム・ブラックの魔力のせいか。
子守りに明け暮れる青年だけは、人間が出来すぎているのではないかと思ってしまうが、それでも結局は応援してしまっているので、まんまと本作が生み出した小宇宙にハマっているのだろう。ひとときこの小宇宙を堪能して、また現実に戻る。ただそれだけの映画だし、それだけのことがとても貴重に思える。
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