「世の中の片隅に生きてる全ての人に届け。」そばかす せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
世の中の片隅に生きてる全ての人に届け。
恋愛感情を持たない主人公が親からお見合いをセッティングされ意外と良い出会いがあったり、中学の時の同級生と再会したりして、葛藤したり居心地の良さを感じたりする話。
私もこの主人公よりかは恋愛感情ある気がするけど、昔から自分の中で恋愛の重要度が最底辺だし、胸がときめくほどの相手に出会ったこともないし、もはや老後の不安とか他人からの印象とか全部なければ第1希望はずっと1人でいたい人間。だから今作凄く嬉しい部分もあったけど自分は佳純と比べると圧倒的に他人を受け入れられないだけな気もした。
主人公の佳純は恋愛感情がないからこそ、誰に対しても平等で自然で、ずっと人と人が好きになるってどういうことかを考えてきたからか他人を慮れる配慮が高い。一線を越えないから良い意味でも悪い意味でも他人に干渉しないので、佳純といると居心地が良いんだろうなと思う。合コンでなんだかんだモテたり、人生迷い中の真帆が佳純と迎合するのも頷ける。
まさに自分に足りないところだよ。だから自分は恋愛感情がないのではなく、他人を受け入れる窓口が狭いからそこまでの気持ちになれないのかなとも思った。異性でも同性でも自分が許せないことをされた時のシャッターの閉じ方が早すぎるんだろうなぁ(笑)
恋愛をしない人って往々にして逃げてるとも思われがちだけど、佳純はトム・クルーズの逃げてる姿が好きだと言う、どこまでも世の中の片隅に生きてる人に寄り添う映画だなと思った。
性自認は途中で変わったり大人になってから自分の中で決着がつくものなのだから、人を好きになれること自体が遅い人もいるし、それがずっと来ない人も、途中から全く無くなる人もあって良いと思うんだよ。私には佳純が若干、トム・クルーズについて力説する佳純の気持ちが少しわかるという後輩くんに今まで持たなかった何か違う感情を持ったようにも見えたんだよね。
こんなこと言ってると歳とってから困るとか、結局ごちゃごちゃ言って逃げてるだけと思う人もいるかもしれないけど、この世のどこかにいるこの私の気持ちを理解してくれる人に届け。