「【人心と自然が乾ききった小さな町で、20年の間に起きた2つの悲劇の連動性・・。そして過去の悲劇の詳細を口にしない人々の様々な偽り・・。”今作は、難解だが面白い推理・サスペンス小説の如き作品である。】」渇きと偽り NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【人心と自然が乾ききった小さな町で、20年の間に起きた2つの悲劇の連動性・・。そして過去の悲劇の詳細を口にしない人々の様々な偽り・・。”今作は、難解だが面白い推理・サスペンス小説の如き作品である。】
ーオーストラリア・メルボルン連邦警察官アーロン(エリック・パナ)は、20年前に起きた”少女溺死事件”の犯人と思われてしまい、町を父と出る。
そして、20年後、親友だったルーク一家の葬儀に参列するために、町に戻る。
ルークは妻カレンと子を撃ち、自殺したとされているのだが、ルークの両親はそれを信じていない。
そして、ルークの父親はアーロンに”君とルークも昔、嘘を付いたじゃないか・・”と言う・・。-
◆感想
・結論から申し上げると、今作は私にとっては大変面白かった。
・20年前に起きた、若き、ルーク、アーロン、カレンといつもつるんでいたいた、エリーが川で”溺死”した事と、20年後に起きたルークが起こしたとされる事件の連動性に引き込まれるのである。
ー 何故、エリーは夜のキャンプで、”THE CHURCH"(オーストラリアの80年代の人気ロックバンド)の大ヒット曲”UNDER THE MILKYWAY"を哀し気に歌っていたのか・・。その真相は、ラストに明らかになる・・。見事な作品構成である。-
・アーロンは新人警官を連れ、真相を探ろうとするがエリーの粗暴な父、粗暴な兄(GRANT:敢えて、英語で記す・・。)に、様々な嫌がらせを受ける。(彼らは、エリーが”溺死”したときにも”執拗なまでに”アーロンを追い詰めている・・。)
ー 新人警官から”現場の三発は、レミントンで色は青。けれど、家に有ったのはウィンチェスターで色は赤だった・・”と告げられ、ルークの無実を確信する・・。-
・ルークの事を想っていたグレッチェンとも再開する、アーロン。尚、グレッチェンは、アーロンの元カノでもあった。そしてアーロンはグレッチェンの家で、ルークがグレッチェンの産まれたばかりの息子ラクランを抱いている写真を見る。
アーロンは、容疑者リストの中に、グレッチェンも入れたようだ・・。
ー この辺りは、脳内フル回転で鑑賞する。”実に面白い”上質な推理小説を読んでいるようだ・・。ー
<真犯人が分かった時の、アーロンと、若き警官が犯人が火を放とうとした時の、スローモーションで描かれた素早い行動は、正に乾ききった土地だからである。
北米の森林火災と同じく、360日以上雨が降っていない土地に火を放つという事は、町が紅蓮の炎にアッという間に、包まれるからである。
そして、アーロンは且つて、エリーと一緒に登った巨岩に独り登る。
そこで目にしたのは、古いポーチ。
中には、若きルーク、アーロン、カレンと共に、エリーの日記が・・。
そこに書かれていた事は、エリーの父からの暴力と、母が家から逃げた理由と”私もアンタの所から出て行ってやる”と書かれた言葉であった・・。
今作は、人心と自然が乾ききった小さな町で起きた20年の間に起きた2つの悲劇の哀しき連動性を見事に描いた映画である。>
the churchのunder the milkyway、Apple musicで聴きました〜!
サブスクですぐに聴けてしまう時代ですが、お手持ちのCDで聴くと、きっと感慨もひとしおですね。