「何とも言えない切なさ・・・」Dr.コトー診療所 アザスさんの映画レビュー(感想・評価)
何とも言えない切なさ・・・
同窓会映画として観れれば雰囲気は楽しめると思います。
頭を抱えてしまうのが白血病のコトーや身重の彩佳さんに頼り切ってしまう展開。
この点に関する批判は既に出ていますが、これが実際の医療現場のリアルです。
私は大学病院勤務からフリーランスで何軒か医院を点々としました。
大学病院では診療以外に学生や研修医の指導もしなければならない上に、研究成果も求められます。バブル時代の契約で定年まで居座れば多額の退職金と年金が入る教授陣の中には下に仕事を押し付けてロクに仕事しない方もいます。その上まともな社会常識が無く外で生きられない医師も行くところが無いので大学病院に寄生しています。そう言った医師の権威を傘に着て使い物にならなくても高い日当を得ている連中の尻拭いを一部のスター医師やスタッフが自分を犠牲にしてやっているのが現状です。
アホらしくなって辞めましたが、外に出ても似たようなもんでした。どこに行ってもロクに働かない医師がいる。「出来ない」「やったことが無い」「前に診てもらった先生に診てもらいましょう」と言って平気で患者さんを何回も来させたり責任逃れだけプロの医師。研修医の頃からそれをやってきたんでしょう高齢の医師でもそういう方はいて、実際何もできないので辞めてもらった方が良かったりします。スタッフが何も言えないのを良いことに高圧的な態度をとって都合の悪い事は全てスタッフのせいにしたりする方もいて本当に人の形をしたゴミです。
この様に離島では担い手や資源不足でリソースを割けない逼迫した状況が、陸では出来ない医師によって作り出されています。
それを知ってて映画を観ると、ストーリーとしてどうかと言う以前に考えさせられてしまいます。
制作側が意図してこれを問題提起として入れたのかは分かりませんが、実際過労で亡くなった医師もいる訳ですし、何とかなったから良かったという話ではありません。
久々にドクターコトーが観れて良かったのですが色々詰め込み過ぎた感もありますし、内容を掘り下げて納得行く流れにするには尺が短かったと思います。
出来るなら連続ドラマで再構成を期待します。
