「離島医療を象徴する作品のラストがこれで良かったのか・・・?」Dr.コトー診療所 marllowさんの映画レビュー(感想・評価)
離島医療を象徴する作品のラストがこれで良かったのか・・・?
ドラマシリーズのファンで、久し振りの復活を楽しみに劇場に向かいました。
風景・音楽・演者の皆様を通して、ドラマ当時の雰囲気の懐かしさに触れられたのは良かったものの、本シリーズの締め括りとしては非常に疑問の残る終わり方となってしまった、というのが正直な印象です。
本シリーズの一番のテーマは『離島医療の在り方』だと思っています。コトー先生と仲間や島の人達との交流を通して、物語としての面白さを魅せつつ離島医療の難しさを提起することに意義のある作品だと感じていました。
本映画でも、序盤の流れで統廃合の話になり、ドラマから長い時間が経ちコトー先生が年を重ねた今だからこその話の展開に期待したのですが、後半は台風のドタバタの末にコトー先生が超人的な活躍をしただけでした。何の解決策も提示されぬまま、むしろ離島医療故の厳しさを奇跡で無かったことにするかのような脚本・演出で、無理矢理に大団円風のエンディングに押しきられた感覚です。ラストシーンについても、他の方の感想でも色々な見解があるようですが、そもそも現実感のないラストシーンということ自体が本作には合わないように感じました。
統廃合の話、これに繋がるコトー先生の病気、後任と期待されていた剛洋君の今、あたりまでに話を絞った方が、説得力と見応えのある映画になったのではないか、、、と、脚本と演出に残念な気持ちを抱えて劇場を後にしました。
ドラマシリーズありきで観た私は上述の辛い評価となりましたが、前の席で観ていた小学生は終幕後に『面白かった!』と言っていましたので、エンタメ作品としては成立していたのかもしれません。懐かしいメンバーも含め、当時の役を再び引き受けてくれた演者の皆様への敬意を表して、★は3つとさせて頂きました。