「ウクライナ侵攻の火種はすでに燻っていた」ウクライナから平和を叫ぶ Peace to You All regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
ウクライナ侵攻の火種はすでに燻っていた
紛争が長らく続くウクライナで2015年4月から取材を敢行したスロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツ・Jr.が、新ロシア派分離主義勢力が支配する東部のドネツク側と新欧米派のウクライナ側、双方の証言をまとめた。
鑑賞後に知ったのは、新ロシア派の住民達はロシア側によって思想を統制されているという現状。本作の「プーチンの助けが欲しい」「キーウはネオナチだらけ」という市民の声も、「諸悪の根源はウクライナ側」という情報の受け売りによるものと推測できるあたりに、共産主義の名残を感じる。故に、ウクライナ側で暮らす市民の声がシニカルだったり、ウクライナ軍大佐が「誰も過去の歴史を学ばなかったから戦争が起きた」と達観しているのも妙に納得。
おそらくウクライナ紛争についての知識・関心がある日本人は少ないと思う。かく言う自分もその一人だったが、今年勃発したロシアのウクライナ侵攻が突発的に起こったものでなかった事が、本作を観て改めて認識。戦争の火種は2010年代から燻っていたのだ。
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