ウィリアム・S・バロウズ 路上の司祭のレビュー・感想・評価
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講釈師見てきたような嘘を言い
ウィリアム・S・バロウズ 路上の司祭 ワクワクさせる開幕。 老作家が「死後の世界」について、TVインタビューや講演で自著を朗読するのだが、 それがなんとも辛辣で、そして生き生きとしていて (死後の世界なのに生き生きというのもアレだが)、死人やミイラの気持ちそのものになってあの世をボヤくのである。 予備知識なしにレンタルしたDVDだが、つかみから夢中になって鑑賞。 もちろんバロウズは「死後の世界」なんかではなく現世を赤裸々に語っていることは言うまでもない。 作家物や書店物の洋画では、しばしばReading(朗読会)のシーンが描かれるが、著者自らが自作を読み上げる事のこの躍動感は半端ない。 どんな難解な書籍であっても、またかつて読了を諦めて放棄した書籍であっても、著者がそこにいて肉声で読み上げてくれることの別世界はこれなのだ。 ”視覚化されるための言葉の再構築の実験=カットアップ“を試みたバロウズであるが、愚痴や悪態をつく彼の声や、そしてラストに流れる本人の歌唱を見ていれば、バロウズという人は、実に彼自身が演劇的、かつ絵画的人間であったことを確認せざるを得ない。 そういえば松本隆の「風をあつめて」も、カットアップの世界だったのだと、鑑賞後に思い出した。 ・・・・・・・・・・・・ 名文が書けたと悦に入っていると、二日後にはそれが悪臭を放つ出来損ないのミイラになっているだろ?って、 このオヤジから教わったのは痛い収穫(笑) そして広島・長崎への原爆投下をば、言葉を尽くして糾弾してくれるべらんめえ口調の物言いには、 ムネアツ。
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