「食べるな、味わえ」ザ・メニュー uzさんの映画レビュー(感想・評価)
食べるな、味わえ
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正直、不足している部分は多い。
シェフをはじめ登場人物の背景は断片的な台詞のみ。
スタッフが従順な理由も明かされず、ダメ元で暴れる客がいないことも不自然。
動機もすべて「そんなことで!?」のレベル。
でも、本作の主題には必要ないことなのかもしれない。
美食や映画はもとより、芸術や娯楽を享受する者への痛烈な批判がそこにはあった。
もしかしたら、創り手のエゴに対するそれも一緒に。
声をひそめて会話する客に対し、シェフの大きな柏手や、スタッフによる軍隊さながらの「イェス、シェフ!」。
その対比が序盤から不穏さを煽り、中盤から一気に顕在化する。
時折差し込まれるシュールな笑いが、不気味さとおかしみを引き立てていて秀逸。
材料『マシュマロ、チョコレート、レストラン、シェフ、スタッフ、客』と表示されるデザートは、笑っていいのか。
中盤いきなり『逃走中』が始まったのにも笑ったけど。
タイラーは本当にフラレたのか、実は恋人を巻き込まないようにしたのではないか。
余白も多いので、色々と想像してしまいます。
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