劇場公開日 2022年9月2日

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「映画がつまらないのはしょうがない。しかし、トークショーでは観客ときちんと交流しましょう。」神田川のふたり 慎司ファンさんの映画レビュー(感想・評価)

映画がつまらないのはしょうがない。しかし、トークショーでは観客ときちんと交流しましょう。

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

要約すると、友人の死を利用して好きな男に接近していく女の子の話。
神田川を遡ろうと言うのも、神田の恋心を伝えてあげようと言うのも、家に帰りたくないから一緒にいようと言うのも、主体的に選んだのはすべて女の子・マイちゃんの方。最終的に目論み通り、トモキくんからの告白をつかみ取る。
だから、神田からお姉さんへのプレゼントとして買ったはずのモンブランをカラオケで食ってしまう描写にはマイちゃんの本心が表れていて、本作の唯一面白い部分となっている。

映画の終盤、恋を成就させた二人をモブ一同も集まって祝福するシーンで、突然金髪眉なしの神田が金属バットを持って現れ、「てめえら何オレの死を利用して幸せになろうとしてんだ!なんでモブのてめえらまでこいつら祝おうとしてんだ!(自粛用語)!」と全員をシバき倒す。
生者の勝手な都合で理想化され、それに同調した観客の期待によって作られた死者の偶像を、死んだはずの神田本人が破壊する。それにより観客は、生者が死者を清らかな存在として理想化することの欺瞞性を突き付けられると同時に、予想を超えた、しかし必然的なエンディングに映画的カタルシスを感じる…。

というラストを期待したのだが、なんと実際はその真逆。神田は主役二人と(僕以外の)観客の期待通り、二人の幸せをお祝いしておわり。くそしょうもねえオチ。

まあ映画がつまらないのはしょうがないから良いとして、その後のトークショー。
これは本当に最悪だった。

監督とモブの演者2人が登壇したが、神田川の思い出は~とか、井之頭公園のジンクスで~とか、本当に無意味なことばかりくっちゃべって、一向に映画の内容とか、制作上の技術とかの話を始めない。ようやく監督が少し話し出して、監督した経緯は、AFF(文化庁の制作費支援事業)に通った既成の企画を演出しないかと委嘱されたとのこと。
じゃあ、神田は本当に二人のこと祝福すると思いますか?死者が生者の期待通りの振舞いをするのは、果たして倫理的ですか?面白いですか?これは本当に監督がやりたかったエンディングですか?もっと別のアイデアがあったりしませんでしたか?
と聞いてやろうと思ったら、なんと質問タイムがない!
アップリンクのスタッフが、写真タイムです~とか言って、3人が壇上で並んで、客はパシャパシャ撮りだして、SNSで拡散してください~とか言って、
撮るわけねえだろ!拡散するわけねえだろ!早く帰らせろ!(自粛用語)ボケ!
と思った。怒りというより、監督として映画に向き合う姿勢の不誠実さに心底絶望した。
仮に制作上の制約で自作の出来に不満を持っているなど、自作について深く掘り下げたくない心情であったとしても、映画の制作方法も碌に語らず、観客との質疑応答も設けないようなら、トークショーなんて出るべきではないです。
映画への誠実さについて、自分への戒めというか教訓にしようと思いました。

Ka!
トミーさんのコメント
2022年12月11日

エンディングは「バカルーバンザイの8次元ギャラクシー」のパクリでしょうか?ちょっと笑えました。

トミー