「頼むから、大河ドラマみたいに役職と名前を字幕表記してくれないだろうか」ヴィクラム Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
頼むから、大河ドラマみたいに役職と名前を字幕表記してくれないだろうか
2025.6.5 字幕 MOVIX京都
2022年のインド映画(171分、R15+)
麻薬捜査官の不審死を起点とした暗躍を暴く様子を描いたクライムアクション
監督&脚本はローケーシュ・カンガラージ
原題の『Vikram』は、劇中に登場する亡霊的な伝説のエージェントの名前
物語の舞台は、2019年3月9日のインド・チェンナイ郊外
そこでは、麻薬捜査官のスティーヴン・ラージ(ハリーシュ・ベラディ)とプラバンジャン(カリダス・ジャヤラム)が、麻薬ブローカーのアンブー(アルジュン・ダス)とアダイカラム(ハーリッシュ・ウタマン)から押収したコカインの原料をとある場所に隠していた
そこは、かつて何かの製造工場だった跡地で、追跡装置を切ったブツは人知れずの場所に眠ろうとしていた
それから6ヶ月後、チェンナイにて、3件の殺人事件が勃発する
それは「黒い仮面を被った数人の男たち」による犯行で、その犠牲者はラージとプラバンジャンと、彼らの養父であるカルナン(カマル・ハーサン)という一般人だった
警察本部長のホセ・ジョーズ(チェンバン・ウィノッド)は、警察長官のナガラージ(G・マリムトゥ)を差し置いて、「黒部隊(ブラック・スクワッド)」に捜査を一任することになった
黒部隊のリーダー・アマル(ファハド・ハシル)は、彼らの近辺調査を行なって行くものの、有力な情報は得られない
そんな折、PWDの公共事業で暗躍している事業局の職員ヴィーラパンディアン(ゴーサム・スンダララジャン)が次の標的になってしまった
そして、その捜査の過程にて、黒部隊の一人・ビジャイ(ナレイン)を捕まえることができた
アマルは尋問を行うものの、一向に情報は得られない
ビジャイは「社会の粛清を行なっている」と言い、家族が殺された苦しみをアマルに切々と訴えていった
その後映画は、ヴィーラパンディアンとつるんでドラッグ取引をしていたルドラ・プラタップ(Aruldoss)の娘(Girija)の結婚式へと物語が移っていく
そこには、麻薬王として知られるサンダナム(ヴィジャイ・セトゥパティ)も参列していた
アマルたちもその式場に紛れ込むものの、そこには黒い仮面の男たちも紛れ込んでいて、ルドラを拉致してしまう
アマルは一連の事件には裏があると読んでいて、さらに黒い仮面軍団はメッセージを投げかけていたことに気づいていた
そして、逃げる男に対して、堂々と姿を晒せと宣うのである
映画は、ここまでが前半部分でインターバルが入る仕様になっていた(日本ではそのまま続行)
最大のネタバレは、黒い仮面軍団のリーダーが伝説のエージェント・ヴィクラム(カマル・ハーサン)であり、実はカルナンの死は「偽装」で、同一人物というものだった
だが、Wikiを含めて「一人二役」がわかるようになっていて、観る前からわかってしまう状況になっていた
それを避けて観ることができた人は良いと思うが、カマル・ハーサンがヴィクラムとわかっている以上、シークレットでもなんでもないと思う
物語はそこまで複雑ではないのだが、とにかくキャラの識別がものすごく難しい作品となっている
インド人の顔を見分けるのが得意な人だと良いのだが、初見でキャラのビジュアルを正確に暗記して、その関係性を頭の中で構築できる人は少ないと思う
シナリオの稚拙さも相まって、とにかくキャラの名前を呼ばない(冒頭のダンスではモブの友人の名前は呼んだりする)ので、誰が誰かを把握するのに時間が掛かる
主要キャラであるホセも劇中ではほぼ全員がジョーズと呼んでいるし、これが「ホセ・ジョーズ」なのか、彼の怖さを表現するあだ名のようなものなのかもわからない
キャラの関係性としては、カルナンの実の息子がプラバンジャンで、彼の子どもが本当の孫となっていて、彼に「ヴィクラム」という名前が付けられていた
また、サンダラムの3人の妻に名前があるのに、プラバンジャンの妻だけ名前がないのも変な話で、そこにいるティナ(ヴァサンティ)も妻の母なのか、プラバンジャンの母なのかもわからない
最終的に潜入していた家政婦という設定なのだが、あの家庭に家政婦が必要な理由がわからない
麻薬取締官の給料はめっちゃ良くて、妻も子育てに専念という感じなのだが、この妻の理解度も弱いので、後半のドタバタ劇に少しイラッとしてしまった
逆に、アマルの婚約者(のちの妻)であるガヤトーリ(ガヤトリー・シャンカール)は察しが良すぎて最悪の展開になるのだが、この温度差はなかなか凄かったなあと思った
R15+はこのシーンのせいだと思うが、決定的なものを見せないのは配慮だった(おっさんのは普通に見せてたけど)のかも知れません
いずれにせよ、長いしわかりにくいし疲れるしという内容で、3時間終わって「戦いはこれからだ!」で脱力した人は多いと思う
一応は「Vikram 2」がインドにて2025年11月30日に公開予定なので、順調にいけば来年頃には日本でも公開されるのだろう
どんなシナリオになるのかは想像に難くないのだが、今回「かっこいい紹介」をハブられたティル(シュリクマール)とビジョイにも何か用意してあげて欲しい
次作は、アマルも登場して、共闘するか別働隊で単独行動をすると思うのだが、そのあたりも含めて、「ブラック・スクワッド」の活躍を楽しみに待ちたい
黒部隊という翻訳ははいくらなんでもダサすぎるので、TWINにまたひとつ黒歴史ができたなあと思ってしまった
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