「丸いベッドでババ抜き」窓辺にて uzさんの映画レビュー(感想・評価)
丸いベッドでババ抜き
クリックして本文を読む
ロングカットで、間を多く取った会話を、8割がた室内でしてるだけ。
でも、そこに不思議な温かみや可笑しみがある。
稲垣吾郎が、無感動なのにどこか不安定でゆらぎのある役を好演。
ラブホのシーンで変な生々しさが出ないのは彼ならでは。
玉城ティナはクール、ミステリアス、大人っぽいって方向が多かったから、「かわいい」は新鮮だった。
取材時の斜に構えた感じと、茂巳といる素の感じのギャップも良い。
他の役者も、冷静に見れば芝居がかってるんだけど、ギリギリ自然に見えるバランスが素晴らしかった。
自分は無駄に理性的なところがあるので、(理由は違っても)茂巳が自己を冷たい人間、人間らしくない存在と思う感覚はすごく分かる。
でも、終盤荒川と対峙したときは明らかにちょっと怒ってたよね。
何にせよ、ラストカットの表情で彼のモヤモヤが多少なり晴れたことが分かる。
その理由は各々に委ねられた形かな。
不貞行為含めて基本みんな相手への想いは本物だったと思うのですが、紗衣だけは本気だったのか、茂巳が指摘した通りだったのか、判別がつかない。
そこも含めて、解釈・考察の余地のある、文学的空白の多い作品でした。
コメントする