「火中の栗を拾う」ナワリヌイ Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
火中の栗を拾う
早稲田松竹のプログラムが面白そうだったので、その内の1本をチョイスして鑑賞。
ロシアの現状を知り、また、信念のため自分を曲げずに権力に立ち向かう1人の男の生き様を体感する。とても質の高いドキュメンタリーだった。
ナワリヌイがYouTube、X(Twitter)やTikTok等を駆使して闘う姿、また、オンライン上の情報と金を懐に忍ばせて入手した情報を照合し真実に迫る姿は、近未来小説感が溢れていた。しかし、これが今のリアルなんだよな。
旧態依然としたジャーナリスト達が淘汰されていくのも頷ける。
そして、ナワリヌイ本人にノビチェクを盛った真実を、素直に滔々と語ってしまった彼は、その後どうなったのだろうか?
ドイツで治療し、その地から、ロシアの外側から、改革を叫び続ける選択肢もあっただろう。その選択肢を封じ、自ら火中に飛び込む、ロシアの地に再び戻る選択をしたナワリヌイ。その強さの源泉は何なのだろう?
人間には立ち上がらなければいけないトキがある。しかし、目を逸らして、立ち上がらずに、静観してやり過ごす者が殆どだ。ナワリヌイ本人に迷いが全くないのかといえば、彼も人間なので葛藤はあったのではないかと思う。だが、少なくとも、彼はカメラの前でそのような弱さを微塵も見せることはなかった。
彼のタフさ、信ずる所に従って行動する姿は、見る者の胸を打って止まない。
ナワリヌイが収監された2021年、ウクライナ侵攻が始まった2022年。ロシアは、世界は、今後どのような歴史を刻んでいくのだろう。
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