劇場公開日 2023年2月10日

「ネタバレ厳禁すぎて、じゃ何をレビューするのかというのも難しいけど…」#マンホール yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ネタバレ厳禁すぎて、じゃ何をレビューするのかというのも難しいけど…

2023年2月10日
PCから投稿

今年44本目(合計697本目/今月(2023年2月度)10本目)。

よく、いわゆる「煽り文句」として「ネタバレ禁止」という映画は多いですが、本作品は始まる前に「ツイッターや評価サイトその他での扱いにはご注意ください」とちゃんと出ます。いわゆる「探偵もの」の類(動機は何、誰が?系)でもあまりでないので、その辺はガチなんでしょうね。

 …という前提だと、結局、「主人公が突然マンホールに落ちてしまって、マンホール女というアカウント名でSNS(ツイッター?)をはじめて連絡を取っていら、意外な方向に動いて…」ということ「しか」書きようがないし、それ以上書くとネタバレになるという状況で、レビューサイトなのにレビューができないという変な映画です。

 そうすると結局、法律的な解釈でどうなってるのか??を見るくらいしかないのですが、結構この辺もいい加減というかあまりチェックがされていないので、資格持ちは結構混乱します。
まぁ、ネタ(トリック)自体は一回見たらだいたいわかるし、趣旨(SNSの適正な利用法うんぬん)は理解しなくもないところです。

 採点に関しては以下の通りです。

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 (減点0.6/個々個別に解釈が怪しかったり変)

 ・ 私人間の間では、このように義務もないのに助けようという行為は民法上の事務管理に当たります。事務管理はほかの特殊債権(不当利得、不法行為)と違って、「明確な契約関係がない」ものなので、一般の債権とはかなり違った解釈になります。
そしてこのあたりの解釈が微妙だったり、明確に変だったりするので、「ネタバレ厳禁」なこの映画では、どうしても消去法的にここを論点にせざるを得ず、何をどうしたらいいのかが結構怪しいです(日本以外が舞台なのか??というくらいに変)。

  ((内訳)減点0.2/事務管理の管理人の事務管理の注意義務)

 ・ 事務管理を始めると、本人のためにもっとも利益に適合する方法をもってその事務の管理を行う必要が発生します(697)が、それは当然にツイッターなどSNSで騒ぐことではありません(警察などの公権力に相談するのが普通)。

  ((内訳)減点0.2)/「費用を出してくれるならそっちにいってもいいよ」)

 ・ 事務管理では費用は請求できますが報酬は請求できません。費用は請求できますが、費用の前払いに関する委任の649条(費用の前払い)を事務管理では準用しては「いません」ので、そのような請求(前払い請求)は不可能です。

  ((内訳)減点0.2/事務管理と無権代理)

 ・ 事務管理の管理人(ここでは、ツイッターらしきSNSで騒いでいる人たち)に
、一方で、当然に勝手に事務管理の内容を超えること(第三者と契約を結ぶ等)を行うことはできず、それは表見代理を満たさないならただの無権代理にしかなりません(ただし、本人の追認により遡及的に有効になる)。

  ((内訳)減点なし/参考)

 ・ 事務管理を行うにあたり、本人が誰かについて錯誤(勘違い)があっても、それは事務管理の否定にはならず、その「真の本人」について事務管理が成立します(判例)。

 ※ 映画内で本人を偽ってSNSを開通している部分。
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yukispica