「結局は「家族」」C.R.A.Z.Y. TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
結局は「家族」
1960~70年代、まだまだ「保守的」な考え方が大多数で真っ当であると考えられるこの時代、父親はザックが自我を目覚めさせる前の幼いころから彼の「クィア」な言動を修正しようとします。しかし、あるきっかけで父親を怒らせ、また自身の思春期も始まりいよいよ拗らせ始めるザック。そこに母親、曲者揃いの3人の兄(後に弟も)、更には兄達のパートナーや、ちょっと気のある従姉とそのパートナーなど「家族」の関係性が、時にモラルの欠片もなかったり、距離を置かざるを得ないほど難しいものになっても、結局は「家族」。決して切れることのない絆を感じる終盤の展開はエモーションが高まります。
「家族という呪縛」を描く意味では、監督の後年の作品である『わたしに会うまでの1600キロ(15)』『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(17)』などにもつながる印象のあるこの作品が、監督が亡くなって「日本初公開」のきっかけとなり複雑な思いもありますが、監督が亡くなった(自然死)21年の「クリスマス」がこの作品と偶然にもリンクしていることなど、この作品を観られたことに素直に喜び、また噛みしめる一本でした。
コメントする