「"ホモ" 60s70sと駆け抜けるC.R.A.Z.Y.と名付けられた5人兄弟を描いたこのカミングオブエイジ青春映画に夢中(クレイジー)だ!」C.R.A.Z.Y. とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"ホモ" 60s70sと駆け抜けるC.R.A.Z.Y.と名付けられた5人兄弟を描いたこのカミングオブエイジ青春映画に夢中(クレイジー)だ!
クリスマスに生まれて、襟足に金髪が入っていて、出血と火傷を治す特別な力があると信じられている主人公。自分らしく生きるべきか、変わるべきか?"普通になりたい"と願ってしまう。愛憎渦巻くクソ兄貴3人は活字オタクに、不良パンク問題児に、ゴリゴリの体育会系運動オタク。
60年から始まり劇中の時代ごと(主に70s)に真夜中のミサでのストーンズ、部屋でのボウイなどズルい選曲、最高のサントラが寄り添う記憶と密接に結びついた音楽の役割。例えばSpace Oddityが象徴する孤独や自分だけ別の世界に生きているという感覚、あるいはそれをポジティブに捉えるなら劇中のような現実逃避や没入感。特定の楽曲やアーティストが自分の気持ちを言い得ているという感覚。グラムロック --- というより性をも超える唯一無二の存在としてのアイコン=デヴィッド・ボウイ --- からパンクへ、部屋に飾られたポスターはブルース・リーとボウイからジョン・ライドンへと。それでも、どれだけ変わってもパッツィ・クラインは永遠/普遍的で、いつでも心の拠り所/帰る場所みたいに響く。レコードという印象的な小物使い。それは本作が2005年の作品であることを考えてもまだレコードブーム再燃前なので、本作で描かれる時代以降、CDの時代になっていくことを考えると消滅していくメディア/過去の遺物 = (いいことばかりではなかったけど今の自分を形作る)過ぎ去りし思い出の日々として余計に沁み入るものがあった…。
愛ゆえに要した戸惑いと赦し、(たとえ理解できなくとも)和解の歳月。始終疎まれて憎まれて仕方ないって感じでもなかったのがリアルで良かった、良いときもあれば悪いときもあるし家族だって一緒。色々あったけど結局は親に感謝したくなるようなノスタルジックな作品。手前に男女カップルがいて、カメラが引くと男性カップルが映るラストカットも良かった。
P.S. 青年期になってからの俳優がジョナサン・リース・マイヤーズにも見えてくる。
勝手に関連作品『Boyhood/6才のボクが大人になるまで』