劇場公開日 2022年9月10日

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「ニューヨークのレコード店の20年に渡る盛衰記」アザー・ミュージック ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ニューヨークのレコード店の20年に渡る盛衰記

2022年10月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

中学生の頃からレコード店で膨大な時間を過ごしてきた人間として目頭が熱くなるような映画でした。
音楽オタクの二人の創業者とそこに集まった音楽オタクの店員、中にはミュージシャンの卵とも言える店員たちもちらほら。ここでライヴを行なった多くのミュージシャンたちも登場。そして音楽が大好きなたくさんの客、客、客。彼らにとってここで過ごした時間は濃密なものだったにちがいない。店内のスピーカーから流れる音楽を聴きながら、お気に入りのレコードやCDを選び、店頭や店員たちから情報を得、また情報を交換する。客同士の触れ合いもあったろう。
これからはこうした時間は大して必要とされないのだろうか(そんなはずはないだろう)。ネットで音楽を聴き、音楽を買う。物体(レコードやCD)としての音楽は消滅してしまうのか。
このレコード店は2000年頃にピーク(店にはいつも多くの客が押し寄せ、とんでもない売上を記録したという)を迎え、それがあっという間に存亡の危機へ。そして2016年には閉店。時代の波とは言え何ともやるせない気持ちになる。こういう時代が来てしまったのだということを強く実感した。
一方で閉店を迎え、このレコード店に集まった人たちの熱い思いを知ることで、僕は音楽の力と素晴らしさを再確認することができた。

ゆみあり