「疲れてる人の方が楽しめる。でも、疲れてる時に見るものじゃない。」帰れない山 ティム2さんの映画レビュー(感想・評価)
疲れてる人の方が楽しめる。でも、疲れてる時に見るものじゃない。
大人はこれを見て多くの人が苦しくなるんじゃないかな。
私は苦しくなった。でも、幸せも感じたし心地よさもある。
少し羨ましくなったりしたけど、それは無責任なものだと思い知らされる。
ピエトロとブルーノどちらかに共感すると思うけど、私はどちらかではなく、
大人ピエトロと大人ブルーノどちらにも共感した。つまり人生に疲れてる。
この二人だけではなく、出てくる人全員にちゃんと現実味があるから誰かしらに近いものを感じることができるはず。
自然は美しくとても惹かれる。自然に触れたくなる素敵な映像。
やりたい事と生きたい場所を見つけても、文明から離れてる生活は、時代についていけなくなる。
現代は人間の社会と自然の中で生きるバランスが難しいと思った。
私はいつも自殺には反対で理由もなく止めたいと思っていて、理由は考えれば出てくるけど、考えて止めたいと思う訳ではなく、
ただ、知ったら止めたい。
ブルーノのプライドを気にしなければ、どうすればいいかは簡単で、
やりたくない仕事でもやって、家族がいるんだから町や社会に溶け込む努力をしてってなる。
彼が持ち直して仕事するようになったら、家族と過ごしたり休みに山で過ごしたりって人並みの人生を過ごせるかもしれない。いくらでも新しい経験はできるし、それが新鮮なことなら人生にハリが出ると思う。それで年取って死ぬ。
でも、あの雪山で死んで鳥に食べられて…、
あの時亡くなる以上のものがない気もした。
彼が死にたいと思ってない様な時にピエトロから聞いた憧れた様な死に方。
普通、死に場所なんて選べるものじゃないし死に方も選べないから、望んだ通りに彼は死ねて、死ぬことで得られる幸せがあった。馴染めない社会や苦しい今からの解放と望んだ死に方と好きな山で終われること。
これ以上があるのか。生きてればあるかもしれないしないかもしれない。でも、先のことなんて分からなくて考えられないとき目の前のこの選択をするのは簡単すぎると思った。
もし、私が知ったら止める。ブルーノの望んでることを知ってても私のエゴで止める。それは相手のことを思っての行動ではないなと思う…。
自殺を考えてる人は近くに人がいるとしないとどこかで見た。だから、ひとりにしないで山の家に一緒に留まる。ピエトロが彼から離れないことを祈ってた。
彼はわかってたし、彼の幸せを思ったから去った。
子供のころ特別だったブルーノを特別なまま彼らしくいさせたかったんじゃないかな。
また見るには長いし苦しいので忘れかけの記憶でレビュー。