「まっすぐな友情に父息子愛」帰れない山 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
まっすぐな友情に父息子愛
山がとても大きな役割を持つ映画で知らないことが沢山あって新鮮だった。山の映像が本当に美しかった。画面が縦長のような感じで視野に全てが入り、太陽によって色を変えるモンテ・ローザが必ず背景、前景に登場人物という構図が気持ちよかった。人間が大きく見えるが実はどれだけ人間が小さいかも映る。湖の水の色が吸い込まれそうに美しい。完璧でずっと眺めていたい映像だった。
地図、等高線を読む、用意周到にそして無理をしない。父親が登ったところに線、更にピエトロの線、更にブルーノの線が、それぞれ色を違えて地図に引かれていく。途中からピエトロの線は増えない。父親への反抗心と反抗期。父親の死をきっかけに20年近くたって山に戻り、ブルーノと二度目の、今度は長い再会を果たす。自分の不在の間にブルーノを二人目の息子のように接し共に山に登っていた父。父親とブルーノの線を追いかけて、途中から増えなかった自分の線を確実に引くべく山に登る。そして父親が埋めたメッセージ(ケルンにこういうの埋めるの知らなかった)を読む。自分と初めて登山した時の父の喜び、ブルーノと父が一緒だったことがわかるメッセージ。
父の残した願い通りに山小屋を建てるブルーノとピエトロ。子どもの時に一緒に飛び込んで泳いだ湖はこんなに小さかったのか、ブルーノは職人マエストロだから着実に家を建てていく。「石」(= ピエトロ)の意味の方言「ベリオ!」とピエトロを大声で呼ぶブルーノには喜びが溢れていた。
ピエトロの母親のおかげで本を読めるようになったブルーノは全てが上手くいかなくなったとき、「言葉が貧しいと思考も貧しくなる」と述べる。ブルーノもよく本を手にする大人になっている。そのブルーノは自分にはない、ピエトロの言葉や思考の力やとらわれずに動く自由さに憧れる。一方でピエトロは、父親に向かって心の中で言う。「父さんの息子の一人、ブルーノは行くべき道をちゃんと見つけたよ。もう一人の息子、僕はまだ何も見つけていないけど」。都会の子のピエトロは高原病で氷河の合間を飛んで渡れなくて具合が悪くなってしまう。ブルーノは山の男の子、逞しくて自由でいいなとピエトロは憧れただろう。そのピエトロがネパールに行きヒマラヤを含めて色んな山を登る人になる。
上に書いたのは時系列もバラバラで同時に起きたことではない。でも友達との関係はこんな感じなんだと思う。友達に何かを感じたり気がつくのは同時でなく、相手より少し遅れたり早かったり。羨ましく思ったり憧れたり疎ましかったり側に居て欲しかったり。
舞台のヴァル・ダオスタ州は最北西、イタリアで一番小さい州。イタリアのお尻とか言われているらしい。でもそんなイタリアのはじっこに、モンテ・ローザをはじめとして美しく荘厳な山々が肩を並べている。イタリアの多様性は半端じゃない。そして鳥葬。
おまけ
この映画で映った山々のほんの少しでも見たいと思いヴァル・ダオスタ州の街、アオスタに(ほんの数日のイタリア滞在中に)日帰りで行った。可愛らしい小さな街アオスタからどこを向いてもキリリとした山が見えてアルプスの雰囲気に浸れた。一方でこんな端っこの街にも劇場跡、延々と続く地下の石柱廊があり古代ローマの拡大願望と力に驚いた。(2023.9.)
ありがとうございます、簡単に諦めたら駄目ですね。
相談フォームに
もう一度詳しく事情を話して、メールを送りました。
長期戦で頑張ります。
(新レビューは、一旦削除してもらって、
(もう一度戻ったマイページに投稿すればいいのですね)
本当にありがとうございます。
問い合わせのお返事は、アップルのアカウントで、
ログインしてたはずだから、アップルから入って・・・
と言うものでした。
それで今までは何回かアップルのアカウントでログインしてたのです。
今回は最初の日に確認番号がアップルから来たのです。
ところがそれを書く欄がなくて、そうこうしているうちに、
今回ログインしようとしたら、アップルのアカウントが「ない」、消えてしまったのです。
なんかパソコン(iPadですけど)に疎くて、これをやって下さい・・・と言ってもらっても、出来る自信がないんですよ。
確かに古いレビューも存在してて、2つのマイページになっています。
ただ古い方は使えない・・・
と言う訳で、なんか心機一転このままで行こうかなと
思っています。
本当に心配おかけしてすみません。
山と友情と父と子と、こころに残る映画になりました。
ネパールのおばさんとの会話(成り立ってなかったが)が、全く言葉が通じない相手に、身振り手振りで伝えようとするもどかしさや楽しさを思い出して、懐かしかったです。
鳥葬については、アンデス山脈辺りのことと思っていました。
でも、それもありかな、と思わせるところが、この映画のよさなのかなあと思いました。
いえいえ。
良く行くBARの店主さんやそこで良く見かけるお客さんにもゴッドファーザー好きがいらっしゃって、何かというゴッドファーザーに例えたりセリフを引用してばか話しています。