劇場公開日 2023年5月5日

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「須弥山と8つの山と」帰れない山 ストレンジラヴ氏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0須弥山と8つの山と

2023年5月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

「ネパールの人々の世界は8つの山と8つの海に囲まれている。そして彼らの世界の中心には須弥山というとても高い山がある。そこで質問だ。8つの山を巡る者と須弥山を登る者、多くを学ぶのはどちらだろう?」

イタリアの小さな村。ここで生命が生まれ、恋が芽生え、始まりも終わりも大地に包まれてきた。よく笑い、よく食べ、よく遊ぶ...私たちが忘れてしまった素敵な物語。人生のすべてがそこにある...と言いたかったが...
終始静かに話が進む中で、最後にあまりにも重い何かを突きつけてきた。
元来、人間の生はこの作品の中で描かれているようなものだったのだろう。しかし時が経ち、人々は元々繋がっていた世界を切り分けてしまった。
何の脈絡もなく気持ち早めに物語が展開するように映るが、これは全て布石。最後に全部回収する。
原題はLE OTTO MONTAGNEであり、邦題はやや本作のテーマを曇らせてしまっている感が否めないが、当たらずとも遠からずというところだろう。
別に本作を観たから、「現代人は間違っている、文明ではなく自然に戻ろう」などと叫ぶつもりはないし、都会から離れてスローライフを…ということもないです。あまりにも時が経ち過ぎたのです。もう元には戻れません。私たちにとっては、元来の人類の営みこそが「帰れない山」なのです。

ストレンジラヴ