「中国共産党より革命的な少年少女たち」少年たちの時代革命 taroさんの映画レビュー(感想・評価)
中国共産党より革命的な少年少女たち
2019年夏の香港のデモを映したドキュメンタリー映像とドラマ映像を異和感なくつなげた劇映画です。デモの弾圧からわずか2年で、このような傑作映画を作り上げた製作者達の熱意は驚異的です。
デモ隊が機動隊と戦っている最中、七人の少年少女(二人30代)は、自殺してしまうかもしれない一人の少女を探して街中を走り回ります。その物語が共感と異和感を喚起して秀逸です。
革命(権力との戦い)においては、怒りと恥の感情が大切という事が伝わってきました。民意を踏みにじる権力に対する怒りはもちろんですが、登場人物達は、警察の暴力に慄いて仲間を見捨てて逃げてしまった、デモ隊に催涙弾を撃ち込む父親に養われている、といった事に恥の感覚を抱きます。そのため彼・彼女たちの戦いは、香港を変えるためだけではなく、現在の自分を変えようとする戦いとなっています。逆に、権力の側にいて、その立場を利用して他人を踏みにじる者は恥知らずという事です。
最後に「結果が出なくとも、私たちは諦めない」という制作陣のメッセージが現れます。日頃私(達)の生活を律している〝コスパ〟とは正反対の思考です。革命の反対語はコスパなのかもしれません。だとしたら、脱コスパが革命への第一歩なのかもしれないと思いました。
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