劇場公開日 2022年12月10日

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「生々しいまでの時代の空気と人々の感情が封じ込められた秀作」少年たちの時代革命 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5生々しいまでの時代の空気と人々の感情が封じ込められた秀作

2022年11月30日
PCから投稿

胸を抉られるとはまさにこのこと。時に映画というメディアはその時代特有の生々しい傷跡を体に帯びることがあるが、本作はまさに代表例だ。香港の学生たちによる民主化デモの様子などTVやネットで見飽きたという人がいるかもしれないが、この劇映画は我々がこれまで理解していなかった若者たちの複雑な心の内を痛いほど映し出す。

揺れる香港では、自らの死でもって警察や政権に抗議する自殺者が相次いだという。そして今、一人の少女が死を求めてさまよい、それを察知した若者たちは彼女を救おうと街を駆けずり回る。ゲリラ撮影による緊迫した映像が散りばめられ、カメラが少女の悲痛な思いに肉薄し、その他の登場人物たちの立場や感情の機微をも群像劇スタイルで交錯させる86分。こみ上げるのは絶望か、希望か。全ての思いはたった一つの言葉に凝縮される。疾走を終える時、その力強さが胸を鋭く貫いた。

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牛津厚信