「映画と名乗るほどのものではございません」七人の秘書 THE MOVIE 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
映画と名乗るほどのものではございません
テレ朝ドラマの劇場版。
ドラマはやってた事は知っていたが、見ておらず。
じゃあ、何故この劇場版見たの…?
それはもう、華のある女優陣見たさに。
木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、大島優子…。目の保養。そこにシム・ウンギョンや室井滋をプラスし、個性的やユーモアも加味。
ドラマは見てないが、概要はそれとなく知っていた。
表の顔は秘書。もう一つの顔は、圧力や権力に苦しめられる弱者を救う。
『水戸黄門』『必殺!』『半沢直樹』…日本人の好きなやつ。
単純明快、勧善懲悪、分り易く、ドラマを見てなくてもすんなり見れる。
千代、七菜、不二子、サラン、三和、五月、元締めの萬。
TVシリーズで“財政界のドン”と闘った後のよう。
七菜がめでたく婚約。相手は、“信州のドン”の次男。
華やかなパーティーの最中、次男が経営していた牧場が火事に。市長が焼死体となって発見される。次男が容疑者に…。
が、背後には、ドンと彼が推し進めるリゾート開発計画が絡む。
虐げられる地元の人々、ドンの悪行…縁切りした長男から依頼され、秘書たちは各々のスキルを活かして立ち向かう!
脚本はTVシリーズから手掛け、『ハケンの品格』や『ドクターX』などヒットドラマを持つ中園ミホ。
…なのだが、もう漫画と言うか、中学生が書いたんじゃないかってレベル。
荒唐無稽、リアリティーナシ、ご都合主義、ツッコミ所だらけ。
一秘書と御曹司の出会いがマッチングアプリなんて、そんな訳あるか~い!
一応、美人秘書たちのスパイかヒーロー並みの活躍、悪い奴はとことん悪く、アクションやコメディやラブや友情を織り込み、単純なエンタメに徹するも、演出も演技も話も展開も何もかもクオリティーは低く、気軽に見れてもさすがに目に余る。
リゾート開発の裏の過酷な労働環境。それを暴露するが、ちょっと調べれば誰だってすぐ分かる事。
敵はドン。が、そのドンや秘書たちをも利用していた“もう一人”の企みあって…誰だかすぐ分かる。
信州のドンは秘書たちと因縁ある人物と繋がりあって…。鶴瓶は悪役として凄み出すも、TVシリーズの敵であった財政界のドンの方が手強そう。しかも岸部一徳が演じ、本作にも登場し、信州のドンが「先生」と低頭するもんだから、何だかインパクトに欠けた。
おまけに、“もう一人”の方が巧みな企みで、さらにラスボスとしてのお株も奪われちゃったような…。
まあ、こういうもんだと割り切って見れば…。
女優陣を見る分には充分。
魅力的な木村文乃。レビューを見ると、TVシリーズは見ずこの劇場版を見た方多いようだが、その理由のほとんどが彼女目当て。やっぱり皆、同じなんだね♪︎
トラベルメーカーだが、キュートな広瀬アリス。
クールビューティーな菜々緒。
毒舌な大島優子。
ハイテクに強く、実戦は不得意と思いきや、やる時はやるシム・ウンギョン。
ユーモア担当の室井滋。
掛け合い、チームプレー、衣装チェンジにアクションも披露。最も、アクションはちとチープだけど…。
ファンサービスの為なんだろうけど、千代と航一のロマンス、萬と美都子の仄かな関係は必要だったのかな…?
七菜と二郎はまさかの“釣りバカカップル”で、欲を言うともっと絡みや掛け合いを見たかったんだけど…。
鶴瓶や玉木宏は見せ場あるが、濱田岳や吉瀬美智子は勿体ない使われ方。
再三言うけど、言い出したらキリがないので、割り切って見て、女優陣を愛で、旨いラーメンを食べる事。
ちょっとだけ真面目に言うと、
終盤でドンが豪語。過疎化が進む地方。若者たちがわざわざ都会に行かぬよう、地元で胸を張って働き、活性化させる。言ってる事は間違った事ではないんだよなぁ…。我が地元の福島のいわきにあるスパリゾートハワイアンズだって、当時はあった筈。
“もう一人”の本当の目的だって、この土地のみの資源の為。地元や日本人にはありふれているかもしれないが、それを欲している国にとっては何よりの宝。これも言ってる事は間違ってはいない。
ただ、そこに私利私欲があるか、ないか。
人がそれに目が眩み、溺れた時、愚かにも間違う。
この世は万事、表があれば裏がある。
光があれば闇がある。
その闇の中にこそ、光る真がある。
その裁きを下すのは…、
名乗るほどの者ではございません。
そう。それなりに見れたけど、TVSPならまだしも、
映画にするほどのものでもございませんでした。