「【"生まれてきたのは、踏みつけられる為ではない!そして高みへの飛翔。"今作品は、中国の貧しき出稼ぎの民の歓声や啼泣が聞こえて来る胸熱なる作品である。】」雄獅少年 ライオン少年 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"生まれてきたのは、踏みつけられる為ではない!そして高みへの飛翔。"今作品は、中国の貧しき出稼ぎの民の歓声や啼泣が聞こえて来る胸熱なる作品である。】
- ご存じの通り、中国は内部の地域と上海や北京、広州等の大都会との経済的な格差が大きい。故に今作品のチュン少年の両親の様に、大都会に出て家族の為に働き、春節になると大量の土産を持って、故郷に帰るのである。だが、チュン少年の両親は春節にも何年も帰っていない。相当に貧しいのであろう。-
◆感想
・今作品が心に響くのは、チュン少年やマオ少年やワン公少年やかつては、獅子舞のチャンピオンだったチアンと言う、言わば人生の負け組だった人達が、獅子舞を通じ負け組から這い上がろうとする姿がキチンと描かれているからである。
・特に後半、チュン少年の父親が意識不明の大怪我をし、故郷に戻って来た際に、チュン少年がそれまで、獅子舞の練習に励んでいたのに、広州に両親の替わりに出稼ぎに出、彼が大都会で複数のアルバイトをするシーンである。だが、彼は獅子頭だけはしっかりと持って行くのである。
- 辛いアルバイトを複数する掛け持ちする事で、ひ弱だった彼の足腰及び心を更に、鍛え上げたのである。-
◼️白眉のシーン
広州で行われた獅子舞競技会であろう。チュン少年がいない中、マオ少年やワン公少年、チアンがチームを組み競技会に臨む。チアンの技に依り勝ち残るが、45歳のチアンの体力は限界。
そこに、上海でより賃金の高いアルバイトに向かおうとしていたチュン少年が颯爽と現れる。彼の面構えはかつての様なひ弱さや、卑屈なモノでは無く、正に漢の顔なのである。
そして迎えた決勝戦。チュン少年が被る獅子頭は高みにライオンの様に、飛翔するのである・・。
<かつては、チュン少年達を馬鹿にしていた青年達や、競技の相手達もチュン少年とマオ少年の獅子舞を大太鼓を叩いて、鼓舞する姿は染みた。
今作品を製作した孫監督は"真面目に生きる普通の人達に捧げる作品"と述べている。今作品は正にその通りの作品なのである。>