「週刊連載漫画実写化の宿命?」ゴールデンカムイ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
週刊連載漫画実写化の宿命?
映像のクオリティー、アクション演出等々、日本映画もここまで来たかと思わせてくれるほどの娯楽大作。予告編映像を見た時からこれは間違いなく成功するだろうと確信していた。
今やコミック実写化において欠かせない存在となった山崎君。「キングダム」は一作目が残念で続編は見てないけど、「ジョジョ」の実写化は成功してたと思う。そしてアリシパ役には山田杏奈とまさに原作のイメージそのまんまでキャスティングも絶妙。
撮影もちゃんと雪国でロケしていて映像も美しい。何らハリウッド大作に見劣りするところが見当たらない。これはほんと大成功だなと思いながら見ていた。でも、あれ、なんか途中で飽きてきたな、なんでだろう。確か原作は五巻くらいまで読んでいて忠実に作られてるのはわかったけど、一本の映画作品としてはなんだか物足りない。欠点という欠点は見当たらないのに。
これは原作に忠実に作ったのが逆に仇になったんじゃないか。原作は連載漫画だから毎回見せ場を作って次回につなげるわけだけど、それを一本の映画にそのまんま忠実に描くと単調になってしまいメリハリがなくなってしまうのではないか。連載漫画が一話の中で序章からのクライマックスに至るように、映画も一つの作品として序章からのクライマックスという感じで描かないといけない。でも原作通りなぞってるだけではどこがクライマックスかわかりにくいし、それに向けてどのように盛り上げていくかが描かれてないと乗れない。本作では第七師団に囚われた杉元の救出劇がクライマックスなんだけど、それに向けての盛り上がりにいまいち欠けていた気がする。映画は映画として大胆に構成をアレンジしてもよかったのかもしれない。
ほんとケチのつけようがないほどよくできてたと思うけど、なんだろう、傑作を見た後の満足感がなかった。
そういえば原作自体その後読んでないな。個人的にはそれほどこの物語にははまらなかったということかな。でもアイヌ文化とかよく調べていて興味深いし、登場人物のキャラもたってた。原作途中で読むのやめたのはあまりにもふきだしの文字量が多かったから。それといまどき、金塊探しなんてちょっと古くないかな。確かに時代背景は古いんだけど。もっと深みのあるテーマだったらよかったのかも。どっちにしろ年取ったせいか最近こういう娯楽作品は楽しめなくなって来たのかな。
今後、アイヌの歴史とかに触れることあるのか、ただアイヌのキャラクターとして取り上げるだけでそれだけで終わってしまいそうな気もするけど。その辺を描いてくれれば作品にもっと深みが出るかも。
とにかく娯楽作品としては結構高水準な作品。原作ファンには満足できる作品だと思う。