「そこを再現するとは‥」ゴールデンカムイ 餅太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
そこを再現するとは‥
杉本がフチに味噌(オソマ)を渡して、トゥレンペにお供えするシーンがちゃんとあった。
守護霊を信じるアイヌの精神性を表現するには欠かせないシーンだと思ったが、まさかその後のアシリパさんがストゥを持って立っている姿と、フチがその姿を見てホッコリしてるシーンまで再現するとは‥。
擬態語が表現出来ない実写でさすがにこのシーンはないだろうと勝手に寂しがっていたけど、あって良かった!
擬態語といえば、シライシが杉本救出のために鉄格子を潜り抜けてくるシーン。
原作では「ヌッタァァ」とやってくるが、その辺はどうだろうと気になっていたけど、矢本さんのシライシはちゃんとヌッタァァしていた!
擬態語も漏らさず再現しようとする原作愛溢れる製作陣には感謝しかない。
尾形との初バトルでの銃剣をクルッとして持ち直すシーンは原作そのもの過ぎて、これ以外の正解は絶対ないだろうと思う出来でした。
ちなみに私は、しょっぱなの二〇三高地で
「あぁ、自分らの先祖達はこうやって命懸けで日本を守ってたんだなぁ‥」
と思っただけでひと泣きしました。
涙腺が弱いので。
それは多分戦場シーンの迫力が桁違いで、実際の映像ではと感じさせる程の出来だったからだと思います。
目がほとんど見えない梅ちゃんの元にトラジの骨を還しに行ったシーンもしっかり描かれていた。
梅ちゃんの「あなた、どなた?」でまた涙腺崩壊。
あと二階堂兄弟にドロップキック炸裂も最高でした。
その後の鶴見さんの「はらわたを盗みよった」というセリフも原作通りだし、物理的に可能なものは再現するし、物理的に無理なものはCGを駆使してでも再現するという気概を感じました。
それだけで勝手に涙が。
みんなと全然違うポイントでも泣いて鼻をすすっていたので、少し恥ずかしかったです。
尺の関係や再現可能性の問題で多少の改変はあるものの、全く気にならなかった。
改悪にならないように細心の注意を払って改変していることは伝わった。
ほぼ原作通り。
原作通りなもんだから、次回作に期待すると同時に、「あのシーンはPG12では対応出来ないのではないか‥」などとこの先の展開を少し心配したり。
でもこれは今作のクオリティが高いゆえの心配であり、評価が下がる要因ではないです。
原作で笑ったシーンも原作と同じ熱量で笑えたし、熱くなるシーンも泣けるシーンも然り、近年の映画の最高傑作だと思いました。
エンドロール時に二段階仕込みでシーンを挟み込むのがニクい構成でした。
もはやあれは次回予告でしょ!
今作に1ミリも登場しなかった豪華メンバーが尺短めでバンバン出てきたらもう次回作が観たくて仕方ない!
次は二瓶ごはんや辺見の(優しい‥)、カノの「シライシ、ウシロー」も、インカラマッとシライシの競馬のくだりも‥。
ってことはおやぶぅぅんと姫も出るのか?!
これは期待が膨らみすぎる‥。
実写版ゴールデンカムイは、原作と一緒に楽しむのが一番良いかと思います。