劇場公開日 2024年1月19日

「日本型実写化の現在進行完成形」ゴールデンカムイ keebirdzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本型実写化の現在進行完成形

2024年1月19日
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笑える

楽しい

幸せ

ガチガチなヒトの異論は知りませんが、映像を見ていて漫画原作→アニメ化→実写化の違和感や物語進行の屈曲が殆どありません。
アクション映画としての面白さや主題を訴えるよりも、いかに絵空事の原作世界と我々生身の人間世界との融和をつなぎ目なく描くかに賭けているかのようで、しかもこれまでの死屍累々数多の違和感実写化映画を踏み越えてほぼ完全に成功している(デカい白い奴の造形除く)。
いかにもマンガ表現的なアクションや決めシーンの連続ですが、夫々それなりに迫力があってカッコいいのでOKです。「Godzilla -1.0」で、CGIゴジラの歩きを敢えて中にヒトがいる風に味付けするのと一緒です(アレを不自然とか足太すぎと笑う一部の海外批評YouTuberはニワカ)。

この原作イメージ固執が前提のような映画への考え方、作り込みの練り上げは日本人・日本文化ならではでないかと思います。わたし日本人なので良いと思います(ま、それ故に単独の映画作品としての限界や制約は大いにある、コレもまた日本か)。

評価としては端的に、私がストーリーを充分知っているにも関わらず退屈せずニコニコ楽しめたので、良い出来だったと思います。

ただ上記の制約から、映画独自の驚きのシーン展開とか新たな情感の創作とかありません(改変とか端折りとか原作レ◯プとか言われてしまうので出来ないでしょう)。映画批評的に見て、ストーリーの流れがいささか冗長に感じてしまう方もいるかも知れません。
私にそう感じさせなかった主要配役の静・動の熱演、シンプルかつ自然映像の美を生かした脚本、凝った大道具・小道具、そして何より“北海道の大自然”に拍手です。
この調子、というか役者さんや客が歳をとる前に演出ギアと制作予算をどんどん上げて、ファイナルまで怒涛の疾駆をしていただきたい。

今作の区切りのような進行ペースだと、三部作どころか六部作くらいになってしまいそうですが、日和らず端折らず負けないでがんばれー!見に行くぞ!たぶん。

keebirdz